秘書室職員がコロナ感染の武田良太防災相、緊急事態宣言前夜の“3密”会食

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 安倍晋三首相が7都府県に対し緊急事態宣言を発出した4月7日、永田町に衝撃が走った。日本の行政の中枢・内閣府からも、とうとう新型コロナウイルスの感染者が出たのである。

 感染したのは、武田良太・防災担当大臣(52)の秘書室に勤める50代の男性職員。男性には2日から咳の症状があり、4日に発熱、6日から欠勤していた。7日にPCR検査を受け、感染が判明したという。内閣府は、秘書室で一緒に勤務した6人の職員に自宅待機を命じた一方で、武田大臣については濃厚接触者に当たらないとしている。

 直属の部下が感染したにも関わらず、濃厚接触者には認定されなかった武田大臣だが、緊急事態宣言前夜の6日、同僚議員と“濃厚接触”していた――。

 4月6日の18時過ぎ、赤坂の議員宿舎を出た武田大臣は、黒いパーカー姿の男性と連れ立って、近所のスーパーで買い物を始めた。みずから買い物カゴを持ち、レトルト食品などを購入。現役の閣僚であり、『新型コロナウイルス対策本部』のメンバーでもある武田大臣。翌7日の緊急事態宣言発出はもちろん知っていたはずだから、それに備えた買い出しだろうか。

 買い物を終えた二人は、これまたすぐ近所にある高級寿司店に入っていった。その直後、スーツ姿の男性が同じ寿司屋の店内へ。そして、3人で寿司をつまみつつ、ビールを片手に政治談議を始めたのだった。時刻は18時26分。ちょうど、目と鼻の先にある首相官邸では、新型コロナウイルス対策本部の会議が開催されていた時刻である。

 武田大臣と親しげに酒を酌み交わす二人の男性も、実は自民党議員であった。黒いパーカーは福岡4区選出の宮内秀樹・衆議院議員(57)、スーツの男性は大分2区の衛藤征士郎・衆議院議員(78)だ。福岡11区の武田大臣とは、同じ九州選出で、同じ政党の代議士同士。気心の知れた同僚3人で、緊急事態宣言前の最後の晩餐といったところか。

 さて、気になる3人の話題はというと、まずは衛藤議員が会長を務める超党派の『病院船・災害時多目的支援船建造推進議連』について。今後の感染症対策のためにも、日本にもアメリカが持つような病院船が絶対に必要なんだ、と衛藤議員が熱く持論を語る。

 緑茶ハイに白ワイン、日本酒と、アルコールが進むとともに、次第に興が乗ってきた3人。衛藤議員が寿司屋の大将に向かって「この武田良太は、将来総理大臣になるかもしれない男だ」と持ち上げると、宮内議員も「うんうん」と相槌をうつ。大臣本人もまんざらでもなかったのか、「最近の政治家はダメだな」などと語りだして、話題は衛藤議員の子息へ。「政治家を継がせるつもりなら、他の議員の事務所で修業させないと。おれのところに預けてくれれば、みっちり鍛えてやる」と武田大臣。アルコールも手伝って、店内の他の客にも聞こえるほどの大声である。

 そんなこんなで、しばし熱い政治談議を交わした大臣ご一行。20時半ごろ、衛藤議員が一足先に離脱し、残った二人は22時過ぎに店を出た。さすがに酔いが回ったか、上機嫌ながらも千鳥足で暖簾をくぐった武田大臣は、携帯電話でどこかに電話をかける。ほどなくSPを乗せた車が迎えに来て、その後は寄り道せずに議員宿舎へと帰還したのだった。

 決して広くはない地下1階の寿司屋のカウンターで、何時間も肩を寄せ合って語り合った3人。小池都知事が警鐘を鳴らす「密閉・密集・密接」の“3密”に該当するかどうかは、それぞれの判断に委ねるべきだろう。ただ、緊急事態宣言が翌日に迫る中での会食だから、先生方にとってはよほど緊急の“3人での密談”だったに違いない。

 実際、寿司屋談義の主催者だったという衛藤征士郎代議士本人が、こう語る。

「この日の午後、私は『病院船・災害時多目的支援船建造推進議連』の会長として、総理の元を訪れて、病院船の建造を強く要望したのです。武田君は以前から病院船の導入について理解して応援してくれていたので、ゆっくり話をしようと私から声をかけてお誘いしました。宮内君? 彼はたまたま近くにいたから同席しただけじゃないかな」

 もちろん、病院船について熱く語っていたのは紛れもない事実だが、なぜ寿司屋で?

「まあ別に議員食堂でもよかったのですが、どうせならすぐ近くにある寿司屋にでも、という話になってね。支払いは私がしましたよ。誘った人間が払うのは当然でしょう。政治家の仕事は政策を語ることです。コロナだ緊急事態だといってもね、政治家というのはいついかなる時も、寸時を惜しんで働くべきだというのが私の信念ですから」(衛藤氏)

 と相変わらず熱く語るのだが……。この日すでに、武田大臣の秘書室職員は体調を崩して自宅療養に入っていたのである。政府の要請を受けて、真面目に外出自粛を続ける大多数の一般国民からすれば、「緊張感に欠ける」と言われても仕方ないのでは?

週刊新潮WEB取材班

2020年4月9日掲載

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