朝日新聞、SNSで謝罪つづく “とりあえず謝る”の自己矛盾

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 朝日新聞は日ごろ、社会には多様性が必要、表現のあり方も多様であるべきだと声高に説くが、自らのふるまいはそれを見事に否定しているのだから世話はない。

 まず3月13日。小滝ちひろ編集委員がツイッターに「超大国の大統領が恐れ慄く。新コロナウイルスは、ある意味で痛快な存在かもしれない」と投稿し、強い批判に晒された。すると朝日は15日の朝刊で「『痛快』という表現は著しく不適切」と全面的に謝罪した。

「あれには(渡辺雅隆)社長も“ウイルスを痛快とは何ごとだ”とおかんむり。直後の取締役会でも話題になったほどでした」

 とは朝日関係者。権力者を高みから嘲弄する、いかにも朝日らしい物言いだが、事実関係の誤りならまだしも、論評に対するネットでの反発に“とりあえず謝っとけ”的な姿勢は結果、悪しき前例となった。

 次は18日に台湾を訪れた吉岡桂子編集委員が、現地で事実上の隔離対象となった際、「台湾映画の舞台にもなった街の再訪も考えた」旨を朝日のフェイスブックに投稿。これが「ピクニック気分か」と非難されるや、朝日はすぐさま「配慮に欠けた表現がありました」とまたも“即謝罪”に及んだ。

 ちょっと待て、取材地での滞在先について思案する過程を記したところで一体、ナニが悪いのか。傷ついた、不愉快な思いをさせられたと楯突く手合いに、面倒だから頭を下げておくというのでは、言論機関の看板が泣きますぞ、朝日さん。

 元「週刊朝日」編集長の川村二郎氏が呆れる。

「なべて多様性が大事だと主張する一方で、自らは言論や表現を封殺する。事なかれ主義が肥大化し、自己矛盾にも気づけない……」

 病根は深そうだ。

週刊新潮 2020年4月9日号掲載

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