コロナで続くトイレットペーパー品薄 試される民度…買い占め不要を数字で読み解く

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デマだとわかっていても…

 もっとも、ネット上には早くから「トイレットペーパー危機」をデマだと指摘する声は多くあり、私は、買い占めはすぐに収束するものと見ていました。ところが、デマだと分かっていても、開店前の薬局に行列ができ、目の前でトイレットペーパーが買われるのを見ると、ついつい自分も……となってしまうのが人の性。これを「バンドワゴン効果」といいます。

 またコンビニに、トイレットペーパーがないというのも大きかった。これは単純に配送の関係で、コンビニ全店に一度に行きわたらないのが理由なのですが、普段行くコンビニに品物が「ない」というのは、薬局以上にインパクトが大きい。なおさら、「あったら買っちゃう」状況を生んだように思います。

 繰り返しになりますが、コロナ禍であろうとなかろうと、私たちの“排出量”は変わりません。トイレットペーパーの消費は増えないのです。

 自宅の備蓄が十分と認識されたためか、ひところより買い占めの動きはなくなりました。薬局の棚にもトイレットペーパーを見かける機会は増えましたが、それでも「1家庭1点まで」の注意書きは残ったままです。

 そこにきての、緊急事態宣言です。ふたたび買い占めに走る動きが起きるかもしれません。外出を控えるために買っておこうという気持ちになるかもしれませんが、ここまで述べてきた余裕ある「供給」量は変わりませんし、スーパーや薬局など、購入先は引き続き営業しています。ですから冷静になり、我先にトイレットペーパーを買い求めるような真似はやめましょう。トイレットペーパーに、日本の民度が試されていると、私は思うのです。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ「FNN Live News α」レギュラーコメンテーター、デイリースポーツ紙にて「最新流通論」を連載中。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年4月8日掲載

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