たるみ・ほうれい線が消える小顔マッサージ(3) 老け顔・間延び顔の治し方
整形不要の「小顔」マッサージ特集の最終回は、施術を行なうCHIDO(チド)さん(59)の思想に共感する杉本彩らへの取材と共に、「間延び顔」について考察する。脂肪などが下がり、それぞれのパーツの間隔が拡がって表面積が増え、結果、老けた印象を与えているのだ。
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〈自分を愛せない人間が他人を愛することはできない〉
といった誰かの言い方には真実の響きがある。ともするとそれは、整形と向き合う際の、当人の心模様に通じるところがないわけではない。
「私は自然な老化に無理に抗う姿をあまり美しいとは思わない。だから、もちろんそれぞれのケースによるけれど、私の価値観や生き方には必要のないもの。整形というものは自己否定の気持ちがやっぱり根っこにあると思う。私は仕事上もプライベートでも、どうやったら自分を好きになれるだろうってずっと考えて自分に向き合ってきました」
と話すのは、タレントの杉本彩(51)。整形が以前よりも一般的になり、公言して憚らない人たちが増えた昨今の風潮について苦言を呈すのだ。杉本は、過去2回に亘って特集してきた東京・西麻布でサロンを展開するCHIDOさんと20年来の友人でもある。
「彼女が私の自宅のある京都に遊びに来た時に、時間が合えばたまに施術もしてもらいます。普段、美容目的のエステなどにはほとんど行かないのですが、CHIDOさんの施術は気持ちがよくて施術後は頭がスッキリ軽くなります。特に目もとがはっきりして目も開きやすく感じます」
ここで、改めてCHIDOさんの施術について説明しておこう。
加齢により骨密度が低下すると骨が縮み、皮膚と骨との間に隙間ができ、余った皮膚が深いシワやたるみの原因となる。骨密度の低下率の高い下アゴ周辺に、ほうれい線やマリオネットライン(唇の端からアゴにかけてのシワ)が現れ、それが老けた印象を強めてしまうのだ。
それに対して整形ではなく、〈凸凹した脂肪を平らな面になるように一つ一つ細かく丁寧に繋げていき、それら脂肪を最終的に頭頂部の百会(ひゃくえ)に至るように持ってきて、形状記憶させる〉のが、CHIDOさんのアプローチだ。具体的には、
「オールハンドという安全な方法で、たるんだ皮膚や無駄な脂肪を集めて頭頂部へ持っていき、“ロック”するという技術です。両耳と頭頂部を通るラインとそれに対して垂直に交わるラインにそれら脂肪などを集め、自律神経と直結する百会に繋げてホチキスで止めてしまう感覚です。キレイになった後もそれを形状記憶できて簡単に戻らないようになっています」
この形状記憶術は既に商標登録済み。杉本は「目も開きやすく」と語っていた。CHIDOさんの施術は、上まぶたが垂れ下がってきて目が小さくなったり、視野が狭くなったりする「眼瞼(がんけん)下垂」のような症状に効果があるのかもしれない。
杉本の話に戻ると、彼女自身、若い頃から乾燥肌かつ敏感肌で、肌トラブルに悩まされてきたという。
「今は自身のブランドを立ち上げてその商品を使っているのですが、CHIDOさんが施術で使ってくれるスキンケア用品は私でも特に荒れることがないので肌に優しいものを厳選して作られているのだと思います。加えて、CHIDOさんも私も自然治癒力を高めて、自分の力で美と健康を保つこと、アンチ整形というスタンスも全く同じです。強いて言うなら彼女の方が“若くなる”ことに力点を置き、そのことを追求していらっしゃるのかもしれません。日本の社会には若ければ若いほどいい、という独特の風潮がある。これは私の考え方とは違っています。そして、こうした考え方が世の女性を苦しめているのではないかと思います」
杉本のモットーはアンチエイジングではなくてラブエイジング。美しく歳を重ねることだ。
「大変なこともあるけれど、歳を重ねるって基本的には素晴らしいこと。だから無理に若作りをするより、歳を重ねていく自分を受け入れる方が幸せだと私は思っている。もちろん体もメンタルも“若々しく”あることはすごく大切です。ただだらしない生活を送り、不健康な体で歳をとるのと、健康に気を付けてポジティブに歳をとるのとではやっぱり刻まれるシワも変わってくるんじゃないかな。健やかな心身を礎にして美が成り立つ。その結果、自然に刻まれたシワは美しいしカッコいいですよ。ひとには成熟した美しさがあるんです。それは人工的に作られた美しさとはやっぱり違う気がします。CHIDOさんの美容施術は、今お話ししたような自然美を追求する考え方が基になっていて、その点が素晴らしいなと思っています」
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