驚愕「がん見落とし」率のPET検査 減らすべきは国を破綻させる「ムダな医療」

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国を破綻させる「ムダな医療」(4/4)

 国の財政が赤字続きなのにもかかわらず、医療の高度化に伴い、国民医療費はこの10年で9兆円増加し、約43兆円にものぼる。うち4割を支えるのが公費だ。求められるのは「ムダな医療」を排し、高度医療に集中する対応である。

 アメリカでは10年前に「Choosing Wisely(チュージング ワイズリー)(賢い選択)」という、ムダをリストアップする医学会の“自浄”運動が起きている。「Choosing Wisely」には、薬のみでなく、無駄な検査も数多く挙げられているのだ。

 これまでにも〈肺がんのCT検診は頻繁に行わない〉〈腰痛では、症状が出て6週間以内の画像検査は不要〉の例を紹介してきた。

 早期発見が叫ばれる昨今での「がん検診」。しかし、これ以外にも再考の余地が残る検査はあって、

〈健康で無症状の人々に対してPET検査を推奨しない〉

〈健康で無症状の人々に対して腫瘍マーカー検査を推奨しない〉

 という項目も挙げられる。

 がん細胞は活発に増殖するため、正常細胞より栄養素をたくさん取り込む。そこで、特殊なブドウ糖を体内に注射し、体内分布の濃淡を映像化して、がん細胞を発見する。これが「PET検査」だ。

 他方、「腫瘍マーカー」は、がんが発生すると血液中で増える特定の物質のこと。さまざまな種類のがんでそれぞれ多数見つかっていて、検査でその有無を確認。血液を採るだけでがんが発見できるのである。

 しかし、

「PET検査は、毎年受けるようなものではないと思います」

 とは、『日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』の著者、近藤慎太郎医師。

「ある施設が約10年間、延べ2万人弱を対象にPET検査を含むがん検診を行ったところ、見つかった200件あまりのがんのうち、PET検査でも陽性が出ていたのは100件ちょっと。つまり、半分近くは見逃してしまっているのです。PET検査には得意な臓器と不得意な臓器があり、また、糖尿病の人に対しては、診断能力が低下します」

 甲状腺がん、悪性リンパ腫などの発見が得意とされる一方、肝臓がん、胃がんなどが不得手と言われている。

 そしてこの検査に用いる「特殊なブドウ糖」とは、放射性同位元素をくっつけたものである。当然、被曝の可能性も出てくるのだ。

 更に、腫瘍マーカー検査についても、

「マーカーの数値が早期の段階で上昇するがんはほとんどありません。また、がんが出来ても数値が上昇せず、逆にがんがないのに上昇することもある。治療効果の判定や再発のチェックならともかく、発見のためとしては現状ではあまりにも力不足です」(同)

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