『セブンティウイザン』対談 古希間近の妻が「私、妊娠しました」【竹下景子×小日向文世】
「ママ」って言ってくれた
小日向 赤ちゃんのときは良かったけど、少し大きくなると撮影は一気に大変になってね。大変なんてもんじゃないです。今は過ぎたことだから笑っていられるけど、先が見えない、終わりがないんじゃないかなって。まさにカオスです。
竹下 演技を全くやったことがない3歳くらいの子供に芝居をさせるんですよ。眠くなれば寝るし、機嫌が悪くなれば泣く。だけど撮影はスケジュールがあるでしょう。子供たちの状態に合わせて、内容を変えることもありましたよね。
小日向 正直なんでこんな台本書くんだよ!って思いましたよ(笑)。自分の子供だったらいろいろ言えるんだけど、ヘソ曲げられて二度と心を開いてくれなくなったら大変なことだしね。だから現場では誰も我々夫婦のことなんて気にかけてくれなかった。監督もスタッフも、みんな子供にかかりきりだったんですから。自分の育児の苦労も思い出しましたね。僕も昔、仕事で家にいないことが多かったから女房も大変だったんだろうなって改めて思ったり、そういえば夜泣きし続ける子供を抱っこしながら芝居のセリフを覚えたなぁって思い出したり。
竹下 逆に私はクランクアップを迎えたら、本当にすごく寂しくて「みらいロス」になりました。ああ寂しいなぁって写真出して眺めたり、どうしてるかな、また大きくなったのかなぁって思ったりして。撮影後のアフレコで再会できた時は嬉しかった……。まだ「ママ」って言ってくれたんですよ。大変なこともあるけど、人を愛するってことが、こんなにも人を生き生きさせるってことを改めて教えてもらいました。
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