巨人、昨季15勝「山口俊の穴」をどうやって埋めるべきか【柴田勲のセブンアイズ】
4月24日の開幕を目指してきたプロ野球界にとってはショックもショック、大ショックだろう。一番心配していたことが現実のものになった。
阪神の藤浪晋太郎投手(25)が新型コロウイルスのPCR検査を受けて陽性反応が出たことが分かった。伊藤隼太外野手(30)と長坂拳弥捕手(25)も陽性反応が出たという。
阪神は4月1日までの活動休止を決めたが、潜伏期間を考えると、2週間は必要だとも言われている。額面通りなら2週間の休止が妥当となる。
これは阪神1球団だけの問題ではない。12球団全体に及ぶ危機だ。
NPBは25日まで練習試合をやってきた。もちろん、阪神もオープン戦や練試合で他球団の選手、関係者らと接触している。今後、どれだけの広がりを見せるのか、まったく予断を許さない。プロ球界は一つの共同体だ。どこでどうつながっているか分からない。じっくりと推移を見守る必要がある。相応の時間がかかる。
人命重視の観点から言えば、中途半端は許されない。こんな状況で何月何日に開幕しますとは言えないだろう。
新型コロナウイルスの感染者はヨーロッパを中心に猛威を振るっている。世界各国が厳戒態勢を敷いている。日本も全国的に大規模イベント自粛の真っ最中だ。
東京も感染者数がうなぎ上りで、小池百合子・東京都知事は「ロックダウン」(首都封鎖)という言葉で危機感を表明している。
東京五輪が1年程度の延期になって、日程調整も解消される可能性が出ていた矢先の陽性発覚だった。延期の休止期間だった7月21日から8月13日を公式戦に活用し、クライマックスシリーズもできそうなプランが浮上していた。
だが、仮に4月24日開幕にこぎつけても多くの問題があった。NPBは入場制限を設ける考えで、1人か2人分の席を空けての観戦にする。収容人数の50%以下案もあるという。
感染予防策の一環だろうが、正直、どれだけの効果があるのか。席を離しても共有部分はある。各入場ゲートには消毒薬、マスクがない人には渡す必要がある。用意ができるのか。
感染リスクの高い高齢者、海外渡航者、基礎疾患を持つファンには入場の自粛の要請。すでに感染リスクの高い応援を禁止する方針が打ち出されているが、どれだけの予防策になるのか。
どれもこれも未知数だったところに、今回の件だ。
かと言って、一部の球団を除いて経営状況は苦しくなる一方だ。オープン戦からの無観客試合で入場料収入はないし、球場内の飲食店、グッズ売り場にも相当な影響が出ているはずだ。
開幕を目指したいが、難問が山積みだ。
でも、開幕が5月になろうと1シーズンを全うしてほしい。試合数が減って100、90、いや80試合になり、日本シリーズが11、12月になってもいいではないか。
ファンあってのプロ野球である。
いまは我慢だ。知恵を結集して最善の方策を探り、難局を乗り切りたい。
久しく巨人の話題から離れていた。今季の課題は昨季15勝(4敗)を挙げた山口俊の抜けた穴をどう埋めていくかだ。
現在、開幕ローテーションは菅野(智之)、新外国人のエンジェル・サンチェス、戸郷(翔征)、これに先発復帰を狙う田口(麗斗)が有力になっているようだ。
戸郷は昨季、9月21日のDeNA戦でプロ初登板初先発した。勝ち負けは関係なかったが、大舞台で堂々たるピッチングを見せた。今季、飛躍が期待されるが、巨人には今後期待できる若手・中堅投手が数多くいる。
鍬原(拓也)、桜井(俊貴)、高橋(優貴)、今村(信貴)、クリストファー・メルセデス、宮国(椋丞)らだ。
巨人はこれまで苦しくなると、外国人の補強に頼ってきたが、徹底して自前の選手でいくべきだと思う。
ことにサンチェスは菅野に次ぐ2番手で期待されているが、外国人選手に関してはやってみないとわからない。
山口の穴をいくらかでも埋めるだけの戦力ならいいが、そうならない時は若手・中堅を起用するいいチャンスだ。必ず活躍する投手が出てくる。山口の抜けた穴をいい方向に向けてほしい。
いずれ、今年のプロ野球は中止なんて声が出る可能性も捨てきれないが、私はプロ野球界の底力を信じて開幕日を待ちたい。