【コロナ禍】日本は感染抑止できているのか 断トツに少ない「人口あたりの死者数」
誰も知らないワースト1位の国
多くの日本人にとっては、なじみの薄い国がワースト1位となった。だが死亡者数は他国に比べて突出しており、深刻な被害が伝わってくる。
ワースト1位のサンマリノ共和国はイタリアの中にある独立国家だ。世界で5番目に小さなミニ国家とされているほか、世界で最も古い共和国としても知られる。
国土面積は十和田湖とほぼ同じ約60平方キロメートル。人口は約3万3000人。日本の市町村で言えば、千葉県の鴨川市や岐阜県の下呂市といった規模だ。
こんな小国に21人の死亡者が出たため、100万人あたりの死亡者数が跳ね上がってしまった。それにしても、改めてイタリア国内の感染が、どれほど酷い状況なのかを教えてくれるデータと言えるだろう。
小国のため数値が伸びてしまった国は他に、アンドラ公国とケイマン諸島がある。前者はフランスとスペインに挟まれたミニ国家だ。
フランスの被害が深刻だということも、改めて実感させられる。パリが閉鎖状態になってしまったのがよく分かる。
それと同時に、アンドラ公国の苦境も説明がつく。感染者数も死者数も多いフランスとスペインに挟まれているのだから、感染爆発が起きても何の不思議もない。
後者のケイマン諸島はイギリス領だが自治権を有している。タックス・ヘイヴンとしても知られ、2016年のパナマ文書問題でも注目を集めた。約6万1000人という人口は、沖縄県の名護市と同じだ。死者は1人なのだが、人口が少ないため割合が跳ね上がってしまった。
2位のイタリア、3位のスペイン、5位のイランは、報道されている通りの結果だ。人口100万人あたりの死者数を計算しても、状況の深刻さは変わらない。
次はワースト9位から15位をご覧いただこう。
こちらの表で小国は3つだ。ヨーロッパのルクセンブルク大公国、カリブ海に位置しオランダ王国の構成国であるキュラソー島、そしてアメリカ領のグアムだ。
グアムはアメリカ合衆国の準州であり、正確に言えば国家ではない。だが、この表ではWHOの分類方法に従った。
ルクセンブルク大公国は、1人あたりのGDPが世界1位であることで有名だ。この表にはスイス、イギリス、デンマークなど、ヨーロッパの先進国が目立つ。医療水準は高いはずだが、それだけヨーロッパの感染爆発は勢いがすさまじいのだろう。
更に、ワースト15位まで見ても、中国が入っていないことにも気づく。この問題に関してはヨーロッパの状況と合わせ、後で詳述する。
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