【新型コロナ】栃木県茂木町が小中学校の臨時休校を撤回した“これだけの理由”
移動手段がない
学童保育は、保護者の就労などで放課後家に帰っても一人で留守番になってしまう児童が対象。保育時間は放課後から午後6時まで(6時30分まで延長可)だ。通年保育は月額6000円、夏休み(7~8月)のみは1万6000円、延長は30分で200円かかるという。茂木小学校は定員80名(40名2クラス)、逆川小学校、中川小学校、須藤小学校はそれぞれ40名となっている。
「通常の授業を行えば、児童の安全に配慮した給食を出すことができますし、保護者の負担もなくなります。安倍首相は子供の安全を第一に考えて休校を要請しました。うちは子供の安全を第一に考えて、休校を撤回しました。古口町長は3月2日、町役場で臨時の校長会を開き、通常の授業をした方が臨時休校をするよりも安全であると説明しました。校長先生はみな、それがベターでしょうという反応でした」(同)
さらに2日の夜、各校のPTAの役員や校長を招いて会合を開いたという。
「PTAからは、『通常の授業を実施した場合、給食はでるのか?』『スクールバスは大丈夫か?』『感染が怖くて学校に行きたくない生徒はどうなるか?』などの質問が出ました。その席で、感染が怖くて学校を欠席した生徒について、欠席扱いしないことにしました」(同)
茂木町は3日に教育委員を呼び、前日の状況を説明した。その後、古口町長は町議会で臨時休校を実施しないことを説明。反対意見が出なかったため、正式に、小中学校の臨時休校の撤回を発表したのだ。
もっとも、県立茂木高校は臨時休校を実施している。
「3月2日から24日まで臨時休業となっています。春休みは3月25日から始まりますので、学習が遅れないよう、生徒には休業の直前に課題を渡しています」(栃木県の担当者)
話を学童保育に戻すと、小学校に学童保育が併設されているのは珍しいケースだという。そこにはこんな特殊な事情がある。
「茂木町は森林が70%の小さな山間の町で、町内を巡回するバスがないのです。ですから、学校の近くに自宅があり、歩いて通える生徒以外はみな、スクールバスで通学します。学童保育が学校の外にあると、そこへ行く移動手段がないので、学校内に設置するしかないんです」(同)
田舎ならではの話か。
「学童保育は登録制になっています。もし、休校となると学童保育を受けたいという生徒がかなり増えると思われます。ところが、茂木町のような田舎では、児童を指導する先生をどうやって確保するのか。小さな町ではかなり難しい。他の自治体であれば、臨時休校を実施するのは可能かもしれませんが、茂木町には色々と事情があるのです」(同)
もちろん、茂木町や近隣の市町に感染者が出た場合は、即時休校の措置を講ずるそうだ。
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