新型コロナ、極度に恐れる必要はない 死者3千人超えインフルとの比較検証

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 いまは感染拡大のスピードを抑えられるかどうかの瀬戸際、なんだそうだが、むしろウイルスへの恐怖心が過剰に煽られて、呼ばなくてもよい災禍さえ呼びかねない状況にある。だが、冷静に構え、できることをしていれば、ウイルスに恐れをなす必要はないのである。

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 コロナウイルス狂騒曲も新たな局面に突入し、閉塞感がとめどもなく深まっている。各種イベントは自粛され、プロ野球も大相撲も無観客。そのうえ学校は休校で、寄せる大波の大きさに、社会全体が恐れをなしている感がある。実際、さる劇場関係者は、

「安倍総理の自粛要請を受け、2年以上かけて準備し、万端整った公演を泣く泣く中止にしました。とはいえ、きっと感染を防ぐためには、仕方がないのでしょう」

 と語りながら、こんな不満も隠さない。

「総理は“多数の人が集まる全国的なスポーツ、文化イベント等については大規模な感染リスクがある”と説明しましたが、これではコロナウイルスが完全に終息するまで、どんなイベントを開催しても危険だと受け取られてしまう」

 なにがどう危険か具体的な説明に欠けるため、恐怖心ばかりが煽られるというわけだ。その意味では、総理が小中高校の休校を要請した際の、「子供たちの健康、安全を第一に考え」という言葉も、学校に行けば子供の健康と安全が損なわれる、というメッセージにも受け取られかねない。

 むろん、本当に子供に危険が及ぶなら、一斉休校もやむなしだろうが、感染症に詳しい浜松医療センターの矢野邦夫副院長は、

「子供が自宅に病原体を持ち帰り、家族が感染して流行するインフルエンザ向けの対策を、小児の感染者が少なく、感染しても重症化しにくいとWHOも明言しているコロナウイルスに適用したことには、疑問を感じます。ターゲットを外した対策だと思います」

 と言いきる。さらにはイベント自粛についても、

「必要な緊急のイベントまで止まっているのは、いかがなものでしょう」

 と疑義を呈する。いずれにせよ矢野副院長は、コロナウイルスに警戒しすぎの現状に警鐘を鳴らすのである。われわれも必要以上に恐れないために、敵すなわち新型コロナウイルスの性質を見極める必要がある。

 まず、感染力だが、

「ウイルスの感染力を示す指標に基本再生産数があります。免疫をもたない集団のなかで、1人の感染者が直接感染させる人数の平均を示すもので、季節性インフルエンザの1~2に対し、新型コロナウイルスは2・5~2・6と、若干高い程度。風疹の約5、麻疹の約18にくらべると、かなり低いといえます」

 と矢野副院長。では、致死率はどうだろうか。

「中国で3%、ほかの地域で0・3%程度といわれますが、実際の値はもう少し低いはず。死亡した人の数、つまり致死率の分子は比較的正確にわかりますが、本当の感染者数、つまり分母はわからないからです」

 同志社大学客員教授で松本クリニック院長の松本浩彦氏も言う。

「現在、検査方法がPCR検査しかなく、これは検査を受けられる人数が限られるうえ、検査技師の腕が問われ、陽性と判断すべきなのに、陰性としてしまうケースが多いと考えられます。ですから、日本には感染者が1万人いると考えてもおかしくありません」

 そうであれば、0・02~0・03%といわれる季節性インフルエンザの致死率と同程度か、それ以下になる。ちなみに2018年には、日本国内でインフルエンザによる死者数は3300人を超え、19年1月には、わずか1カ月で1685人を記録したが、だれも無用に警戒せず、粛々と日々を過ごしていたものである。

 松本医師が続けるには、

「インフルエンザのウイルスは、くしゃみをすると10メートル飛びますが、コロナウイルスは飛べて2メートル。変異によって変わる可能性もあるとはいえ、元来が弱いウイルスなのです」

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