映画「新聞記者」、日本アカデミー賞“三冠”で思い出す「北野武監督」の苦言

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過去10年の最優秀作品を見てみると

 では、2018年度から過去10年度の「日本アカデミー賞」の最優秀作品賞の受賞作と配給会社を見てみよう。

09年 「沈まぬ太陽」(東宝)

10年 「告白」(東宝)

11年 「八日目の蝉」(松竹)

12年 「桐島、部活やめるってよ」(ショウゲート、現・博報堂DYミュージック&ピクチャーズ)

13年 「舟を編む」(松竹)

14年 「永遠の0」(東宝)

15年 「海街diary」(東宝&ギャガ)

16年 「シン・ゴジラ」(東宝)

17年 「三度目の殺人」(東宝&ギャガ)

18年 「万引き家族」(ギャガ)

 過去10年度のうち、東宝作品が6回、松竹作品は2回受賞しているが、独立系の映画会社の配給作品の受賞はない。しかし、今月6日に都内で授賞式が行われた、昨年度の作品を対象にした「第43回日本アカデミー賞」で最優秀作品賞を受賞したのは「新聞記者」(藤井道人監督)である。

 同映画は、会見での菅義偉内閣官房長官とのバトルで知られる東京新聞の望月衣塑子記者の著書が原案。シム・ウンギョン(25)演じる若き新聞記者と、松坂桃李(31)演じるエリート官僚の対峙と葛藤を描いた社会派サスペンスで、配給は独立系の映画会社・スターサンズと「イオンシネマ」を運営する「イオングループ」の映画興行会社・イオンエンターテイメントだ。

 今回、最優秀作品賞ほほか、松坂が最優秀主演男優賞、ウンギョンが最優秀主演女優賞を受賞。主要部門で3冠を達成する完勝だった。

「独立系の配給作品の受賞は06年度の『フラガール』以来13年ぶりです。スターサンズは『あゝ、荒野』、『宮本から君へ』などの問題作を世に送り出している。『新聞記者』の興行収入は5億円ほどで、ほかの優秀作品賞を受賞した作品と比べてもかなり少ない。数字は伸びなかったが、アカデミー会員たちが『見るべき、見られるべき映画』と評価したということでしょう。北野監督の指摘もあって、アカデミー賞も作品が正当な評価をされるようになった、なんていう声も出ています」(映画業界関係者)

 新作の製作話が浮上している北野監督だが、今後、これまでは縁がなかった「日本アカデミー賞」の賞レースに参戦することになるのか。

週刊新潮WEB取材班

2020年3月13日掲載

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