映画「新聞記者」、日本アカデミー賞“三冠”で思い出す「北野武監督」の苦言

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「日本映画の最悪な点は、映画製作会社が映画館も経営していること。自分の作品は米アカデミー賞(の外国語作品賞の候補)に推薦されたことがない。ここで言うのもイライラするけど、日本アカデミー賞最優秀賞は東宝、東映、松竹…たまに日活の持ち回り。アカデミー賞会員が選んだ、というけど、(会員は)どこにいるの?」

 2014年10月、都内で行われたトークショーでそうまくし立てたのは、作品が海外でも高い評価を受けている北野武監督(73)である。

 タレント・ビートたけしとしては長年毒舌を売りにして来たが、映画監督の立場で真っ向から日本の映画界を批判し、国内最大規模の映画賞である「日本アカデミー賞」に苦言を呈したのだ。

 すると、翌年1月、当時の日本アカデミー賞協会会長で東映会長の岡田裕介氏(70)が北野監督に反論。

 同氏は、「北野さんが誤解された発言をされた」、「持ち回りというのはありえない」と断言。選出は協会会員3934人の投票によるものであるとし、「東映、東宝、松竹の(関係者が)占める割合は数パーセント。大した影響力はない」と説明した。

 さらに、開票や集計は第三者機関が行うこととし、「これほど厳正な投票によって行われているものはない」とも話し、北野監督の発言に対して抗議したところ、北野サイドが、謝罪を含めて了承したことを明かしていた。

「岡田氏は“火消し”をしたつもりかもしれないが、北野監督の指摘は当たらずといえども遠からずという声もありました。『日本アカデミー賞』の公式ホームページによると、昨年の時点での投票権がある会員数は3959人。うち東宝(298人)、松竹(298人)、東映(281人)の社員が会員で3社のみで計877名。総会員数の22%を占めるので岡田氏の『数パーセント』という発言は事実誤認で、3社の作品が有利になるのは当然の話なんです」(映画担当記者)

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