大胆な濡れ場も厭わず… 業界で注目される28歳「夏帆」の妖艶な演技力

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評価の高い濡れ場

 それを表す一つが、大胆な濡れ場も厭わなくなった点だろう。CMの仕事への影響などを懸念して濡れ場を避ける女優もいるが、夏帆は違う。

「海街diary」から1年後の2016年には、芸能界の光と影が描かれた青春映画「ピンクとグレー」で中島裕翔(26)、菅田将暉(27)との絡みを演じた。うち、中島とのベッドシーンは過激かつ濃厚。刺激的だった。

 この濡れ場にも夏帆の演技巧者ぶりが表れていた。中島とのシーンは、肌の露出が相当押さえられているのに息を飲むほどエロチック。話題となった。一方の菅田とのシーンは、強引にキスをされた後、押し倒されるだけなのだが、なまめかしかった。

 濡れ場がうまいのは身体的特徴のおかげであるようだ。ある映画制作者は「夏帆さんは目と長い手足が魅力的」と評する。それが濡れ場でも生きているらしい。

 まず目だけで性的な感情まで表せてしまう。目を駆使した演技が抜群にうまい。さらに、細くて長い手と足が、絡みのシーンを妖艶にする。スリムで長い手が男の背中にまわったり、やはり細くて長い足が男の太い足と重なりあったり……。

 冒頭の阿部教授の言葉通り、演技全般が自然。昨年12月まで放送されていた三浦貴大(34)とのダブル主演ドラマ「ひとりキャンプで食って寝る」では、ソロキャンプの魅力に傾倒していく等身大の女子になりきっていた。まるでドキュメンタリーのようだった。

 昨年公開されたシム・ウンギョン(25)とのダブル主演映画「ブルーアワーにぶっ飛ばす」では、仕事は出来るものの、不満ばかり口にするCMディレクター役に。傍から見れば充実したアラサーなのだが、周囲や自分が不満でたまらないという女性。難役だったはずだが、これもまるで実在の人物のようにリアルに演じた。この演技によって、親友役のシムと一緒に高崎映画際の最優秀主演女優賞を得た。

 一方、夏帆への評価が高騰した理由は演技力だけではないようだ。

「主演女優はいわば座長で、ほかの出演者やスタッフを引っ張っていく力や存在感が必要ですが、夏帆さんにはそれがある」(前出・中山氏)

 阿部教授も共演陣との協調性を誉める。実際、うまいだけでは主演にはなれない。俳優にも女優にも自分ばかり目立とうとする人が見受けられるが、それでは作品全体がぶち壊しになりかねない。

 公開中の主演映画「Red」では一流企業勤務のやさしい夫(間宮祥太朗、26)と愛娘がありながら、かつての恋人(妻夫木聡、39)と再会し、禁断愛に走る女性を熱演した。時に人は幸せな家庭を失う行為に走るが、夏帆が演じる塔子を見ていると、それが分かる気になる。

 原作は直木賞作家・島本理生(36)の長編小説。大人のラブストーリーなので、当然ながら映画でも妻夫木との濡れ場がある。目を見張るのは1度目と2度目の濡れ場の違いだ。1度目は夏帆が受け身になって抱かれるが、2度目は逆に夏帆が妻夫木を抱く。どちらもエロチックだが、違いは夏帆が演じる塔子の心象風景の変化を表す。目が離せない場面だ。

 これから先も出演作の公開や制作が控えている。

「夏帆さんは何でも出来てしまう人なので、映画制作者側もいろいろやってもらいたいと考えている」(前出・中山氏)

 振り返ると、2004年から3年間は11代目リハウスガールとして「三井のリハウス」のCMに出演し、お茶の間のアイドルとなった。2013年のドラマ「みんな!エスパーだよ!」ではそれまでのイメージを一変させるヤンキー女子高生役を演じ、ファン層を拡大した。

 28歳と若いが、芸歴は長いので、いろいろあった。2018年には、交際が報じられていた俳優の新井浩文被告(41)が逮捕されたため=強制性交罪で1審懲役5年の判決、控訴中=、好奇の目にさらされるなど辛い思いもした。

 もっとも、これまでの半生のすべてが力に転じられたのだろう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
ライター、エディター。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年3月10日掲載

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