業績低迷の「鳥貴族」と「串カツ田中」が回復の兆し “師弟関係”に異変あり

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業績悪化を克服することができたポイント

「鳥貴族」が業績を悪化させたきっかけは、2017年10月全品280円均一価格を298円に値上げしたことから、という見方をされている。「串カツ田中」の場合は2018年6月より全席禁煙にしたことで、主要客層であった会社員・男性が減少しファミリー客が増えて、これによって営業時間帯が前倒しになり、働き方改革にかなった業態と称賛された。しかしながら、2019年4月より既存店の客数が前年割れするようになり、11月には売上が90%を割り込むようになった。

 では、それぞれの業績が好転したポイントはどのようなものか。「鳥貴族」の場合はグランドメニューの改編を年2回から3回に増やしたことと、エリアと期間限定のメニューを採用したこと。直近では2月20日~29日に埼玉県下の7店舗で「深谷ねぎ天串」を提供した例がある。これらによって、全品低価格均一がもたらすメニューのマンネリ感を払拭した。「串カツ田中」の場合は、テイクアウトやホームパーティ向けにデリバリーを行うなど中食に着手することによって既存店の業績を伸ばした。両者ともに新規出店を抑えて既存店向上の施策に傾注したことが奏功した。

「鳥貴族」は既存店の売上が低迷していた当時、「値下げをするべきだ」と指摘されたものだが、代表の大倉忠司氏は「社員のモチベーションを高めて、外食産業を社会的に向上させるために値下げは絶対にしない」と頑として譲らなかった。このような強い信念が求心力を高めて業績の回復をもたらしているのだろう。

 このように店舗展開の在り方が共通している両者であるが、にわかに別な路線を志向するようになってきている。

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