「東京五輪買収」疑惑めぐり… “森喜朗vs.小池百合子”の凄まじき暗闘
嘉納治五郎の名を冠した財団への「セガサミー」社からの寄付金は「五輪買収」に使われたのか。疑惑を本誌(「週刊新潮」)に報じられた財団側の動きは速かった。財団に金と人を出している東京都の小池百合子知事に「手を引け」と迫ったのだ。水面下で始まった凄まじき暗闘。
***
速報「娘はフェイク情報を信じて拒食症で死んだ」「同級生が違法薬物にハマり行方不明に」 豪「SNS禁止法」の深刻過ぎる背景
速報「ウンチでも食ってろ!と写真を添付し…」 兵庫県知事選、斎藤元彦氏の対抗馬らが受けた暴言、いやがらせの数々
新型コロナウイルスで開催を危ぶむ声もあるなか、何とか予定通り東京五輪を行いたい――。その点で大会組織委員会の森喜朗会長(82)と小池百合子東京都知事は間違いなく「同じ方向」を向いている。しかし、そんな両者が水面下で凄まじい暗闘を繰り広げていることは全く知られていない。
〈「森喜朗元首相」の新財団は「負のレガシー」〉
本誌は2月13日号にそんなタイトルの記事を掲載した。記事では、森会長や遠藤利明元五輪担当相が中心となり、「一般財団法人日本スポーツレガシー・コミッション」なる組織が設立されようとしていることを伝えた上で、その新財団が五輪後の剰余金の受け皿になるのではないか、という見方が出ていることを紹介した。さらに翌週、本誌は、
〈「森喜朗」新財団が呑み込む「嘉納治五郎財団」の五輪買収「5億円」疑惑〉
とのタイトルの記事を掲載。この記事でクローズアップしたのは、新財団の〈設立者〉として300万円を拠出する〈一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター〉(以下、嘉納財団)に関する次のような疑惑である。
嘉納財団が設立されたのは2009年。それから4年余りが経過した13年秋頃、その嘉納財団の名前が意外な人物の口から発せられた。政界のタニマチとしても知られる「セガサミーホールディングス」の里見治(はじめ)会長(78)。20年のオリンピック開催地が「東京」に決定した後に催された、ある酒席において、
「東京オリンピックは俺のおかげで獲れたんだ」
と、自慢話を始めた里見会長。曰く、
「菅義偉官房長官から話があって、『アフリカ人を買収しなくてはいけない。4億~5億円の工作資金が必要だ。何とか用意してくれないか。これだけのお金が用意できるのは会長しかいない』と頼まれた。『そんな大きな額の裏金を作って渡せるようなご時世じゃないよ』と言うと、菅長官は、『嘉納治五郎財団というのがある。そこに振り込んでくれれば会長にご迷惑はかからない。この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。国税も絶対に大丈夫です』と。自分だけで5億用意するのは難しいから、知り合いの社長にお願いして、俺が3億~4億、知り合いの社長が1億円用意して財団に入れた。菅長官は『これでアフリカ票を持ってこられます』と喜んでいたよ」――
この発言について本誌が里見会長に取材を申し込んだところ、
「定かではない」
と、否定せず。さらに、セガサミー広報部は、
「当社よりスポーツの発展、振興を目的に一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターへの寄付実績がございます」
金額こそ明かさなかったものの、金を寄付した事実を認めたのである。
「里見さんが出した金が五輪買収に使われたのではないかという疑惑を報じた週刊新潮の記事が出回ると、永田町では『なるほど、そういうことだったのか』という反応が広がりました」
全国紙の政治部デスクはそう語る。
「里見さんの娘さんは13年に経産省の官僚だった鈴木隼人氏と結婚しています。その鈴木氏は14年の衆院選の際、自民党の比例東京ブロックの実質的な単独1位となり、何の苦労もなく当選。当選ゼロ回の名も知られていない新人が比例名簿の実質1位なんて通常ではありえない。その頃から『何かウラがあるのでは』と言われていたのですが、今回の週刊新潮の記事で『なるほど』となったわけです」
ちなみにホテルオークラで行われた里見会長の娘と鈴木氏の披露宴は、各界のお歴々が顔を揃えるド派手なものだった。何しろ、
「新婦側の主賓は安倍晋三総理。森元総理も小泉純一郎元総理も出席していましたが、首相3代が来る披露宴なんてなかなかありませんよ」
と、取材した記者。
「長嶋茂雄さんや王貞治さん、プロゴルファーの青木功さんや丸山茂樹さん、元サッカー日本代表の中山雅史さんも出席していました。出席者は400名くらいだったようですが、新郎新婦の本当の友達は何人いるのかという感じです。里見会長の人脈を誇示するために行われたかのような披露宴でした」
自民党の野田聖子議員や岩屋毅議員など、いわゆる「カジノ議連」の中心メンバーの姿もそこにあったのは、その頃から里見会長が「カジノ誘致」に積極的だったからであろう。そうした思いに応えるかのように、披露宴の3年後の16年、安倍政権は「カジノ推進法」を成立させている。
[1/3ページ]