沢尻エリカ事件でNHKが演者に“薬物確認書” 視聴者からの抗議に備え

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 出演者の不祥事が相次ぐ“みなさまの”NHK。防止策として、芸能人本人と所属事務所へ“確認書”の提出を求めているという。

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 NHKの木田幸紀(ゆきのり)放送総局長は2月13日、定例記者会見でこう語っていた。

「定時番組に出演していただくレギュラー出演者について、正式な契約書を交わす前に、違法薬物や反社会的勢力と関りがないことを確認していただき、その旨を書面でご提出していただくこととしました」

 NHKが確認書の提出を求めるのは、4月以降放送分の出演者が対象だという。

「きっかけは、沢尻エリカさんの逮捕です」

 とは、NHKの職員だ。

「定例会見で木田総局長は看板番組の『大河ドラマ』を引き合いに出して、違法薬物の所持・使用だけでなく“捜査機関に嫌疑を持たれたりする恐れがあるような事実がないこと”と、確認書の中身に触れました」

 大河ドラマ「いだてん」に出演中だったピエール瀧が昨年3月、現在放送中の「麒麟がくる」に出演予定だった沢尻が昨年11月に麻薬取締法違反で逮捕されたのはご存じの通り。

 2人が降板したため、「大河ドラマ」は撮り直しを迫られることになった。NHKの職員が続ける。

「沢尻逮捕の影響で撮り直した結果、放送開始が2週間延期されただけでなく、莫大な制作費が余計にかかってしまったんです」

 大河ドラマの撮影費用は、1回6千万~7千万円とも。沢尻の出演シーンは、10回分が撮影済みだったというから、“被害額”は6億~7億円に上る計算だ。

 NHKの対応は当然とも思えるが、芸能事務所幹部は首をかしげながら語る。

「沢尻の所属先と言われるエイベックスは、彼女の個人事務所と業務提携契約を結んでいるだけ。つまり、NHKはエイベックスに違約金を請求できそうもないんです。違約金だけなら契約書で済む話ですし、今回の確認書には罰則が明記されていない。何が目的なのか理解できません」

 狙いは一体、何か。

 NHKの幹部に聞くと、

「もちろん、薬物使用の抑制は期待していません。番組出演中の芸能人が逮捕されると、視聴者から抗議電話が殺到します。受信料を徴収する時に出演者の逮捕を理由に拒否されるケースもあり、確認書は職員が抗弁するための材料になります。また、NHKの予算は国会の両院総務委員会に握られている。そこで議員から出演者の逮捕を質問された時に言い訳として“事前に確認していた”と答弁するのに必要なんです」

“みなさま”ではなく、“自分たち”のためではないか。

週刊新潮 2020年3月5日号掲載

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