ウグイス嬢買収事件 スマホ押収で「河井夫妻」と検察が乱闘寸前 強引捜査のワケ

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検察は官邸に反逆!?

 河井夫妻に対する捜査は、広島地検のレベルをとっくに超えており、“検察庁の威信”を賭けたものだと言われている。検察に詳しい記者が言う。

「地検が河井夫妻の事件を徹底的に取り調べる姿勢を見せている背景に、黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延長問題があると言われています。黒川検事長は安倍政権に近いとされ、今回、異例中の異例とされる、半年間の定年延長が行われました。これに現役の検事が強く反発しているのです」

 定年延長に、どうして反発するのか。改めて解説する。何しろ黒川検事長は“安倍政権の守護神”、“菅の腰巾着”と揶揄されているのだ。もちろん、菅とは菅義偉・官房長官(71)のことである。

「黒川検事長は数年前から、『官邸の意向を受け、様々な事件の捜査を潰したり、矮小化させたりした張本人』と経済誌などで報じられるようになりました。具体的には東芝巨額粉飾決算事件、小渕優子・衆議院議員(46)[群馬5区]の政治資金問題、経済再生担当相を務めた甘利明・衆議院議員(70)[神奈川13区]の斡旋利得処罰法違反疑惑で、官邸の意向を汲んで動いたと報じられています。一方、17年には、いわゆる『共謀罪』法案の成立に奔走、国会を通過させたことで安倍晋三首相(65)に高く評価されたとも言われています」(前出の検察に詳しい記者)

 なぜ安倍官邸が黒川検事長の定年を無理矢理でも延長させようとしているのかと言えば、検察官としてトップである検事総長に就任させるためだと言われている。

 現在の検事総長は稲田伸夫氏(63)。そして稲田検事総長は65歳で退官となる。一方、総長以外の検察官は63歳で定年・退官することになっている。

 放っておくと、稲田検事総長が定年を迎える前に、黒川検事長が定年を迎えてしまう。安倍政権は何としてでも黒川検事長を検事総長にしたい。そのため、前例のない定年延長に踏み切ったというのだ。

「あまりに恣意的な定年延長だと、国会では野党が猛反発。検察内部も異論が根強いのです。そもそも検察官とは、難関の司法試験に合格したエリートです。おまけに、政治家を逮捕できるほどの捜査権限を与えられています。検察官をクビになっても、弁護士として働けるという自負もあります。プライドは段違いに高く、『あの田中角栄元首相(1918~1993)でも、検察内部の人事は手が出せなかった』ことを誇りにしています。ところが安倍官邸は、それを無視して、トップ人事に手を突っ込んできたわけです」

 河井克行議員は前法務大臣であり、なおかつ“菅側近”と言われている。

 菅官房長官は派閥を持っていないが、無派閥の自民党議員と勉強会を開くなどしている。彼らは“隠れ菅派”と呼ばれ、その幹部クラスが河井克行議員というわけだ。

「黒川検事長は“菅の腰巾着”と陰口をたたかれるほど菅官房長官と近い。菅さんの右腕で、なおかつ法務大臣が公選法違反に手を染めたとなれば、菅官房長官や安倍首相の面子は丸潰れです。それを目的として、検察は河井夫妻の事件に全力を注いでいると思われます」(前出の記者)

週刊新潮WEB取材班

2020年3月7日掲載

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