神戸「教師いじめ」、男性教師2人は懲戒解雇でも45歳「女帝」は停職3か月の不可解

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「女帝」と報じられた女性教諭

 さて、市教委の発表で最も違和感を持ったのは、事件発覚後、「いじめの主導的立場」として「女帝」などと散々、報じられた45歳の女性教諭Hの処分だ。激辛カレー事件では自らはしゃぎながら食べさせ、生徒にも自慢げに話していた彼女は停職3か月にとどまった。調査委員会の報告では「激辛ラーメン」大会でも無理やり汁を飲ませたりしたとされている。それだけではない。「日常的に、被害教員を叩く蹴る、ビンタをする。椅子を蹴る」「児童の前で被害教員に『きもい』と言って被害教員の尻を蹴り腹を殴った」など、二人の男と比べると件数は少ないが、信じられない行為が認定されている。

 それにしても学校で教員が教員を罵倒して蹴るなど聞いたこともない。ヤクザなのか。

 H教諭が「指導力がある」と高く評価されていたのが筆者は不思議だった。28日の会見で長田淳教育長に問うと開口一番、「調査委員会の報告では首謀者とされていません。いろんな報道で黒幕のように言われている。どこからそんな話が出てきたのか。そのような事実があれば教えてください」と自信を見せた。調査委で「一部の報道のようにH教諭が他の加害教員を助長した関係は見られない」と認定したのを錦の御旗にしていた。そうした報道は「一部」などではない。ならば昨年、新聞、テレビ、雑誌などで報じられた「女帝」報道はすべて出鱈目かマスコミの捏造だったのか。それを問うと教育長は頷いた。多少の誇張はあったかもしれないがメディアも事件後、様々な人たちの話を直接、聞いている。調査委について長田氏が「よく調査してくれた」と強調するのも却って不自然に聞こえた。

 H教諭の評判がよかったのは、保護者会などで「声の大きい」(発言力の強い)保護者の子弟を可愛がり、そうした評判を流布させていたからだと筆者は想像する。保護者たちには「贔屓の激しい先生だった」という声が多かった。H教諭は児童の胸ぐらをつかんだり、椅子を引いて転倒させる、などという事案もあった。気に入らない児童だったのだろう。

 しかし、長田教育長は「生徒さんの気持ちを捉える力があったようです。よく観察していた」などと称えた。

 同教育長は「懲戒審査会では停職1か月としたのを(市教委は)3か月にした。厳しい対応を取った」と盛んに「厳しい処置」を強調した。1か月と3か月など大した差ではなかろう。そもそも3か月停職が厳しいのか。今後について「H教諭は停職期間が過ぎれば異動させる。教壇には立たせない」としたが「未来永劫にわたってとは判断できない」の但し書き付き。彼女は教員免状をはく奪されたわけではなく、「父兄たちから現場復帰の要望が強い」などと世論操作して戻す可能性も高い。

 二人の男性教諭は実名を出しながら、H教諭を匿名にし、驚くほど軽い処分にする市教委の対応は「H教員を守りたい何かがある」と感じさせるに十分だった。H教諭は教育関係者一族の生まれだ。父は教育委員会関係者、祖父は市教委の大物、兄二人も教員と教育委員会関係という。市教委にとって蔀教諭や柴田教諭はもはやどうでもいい存在だったが彼女だけは守らなくてはならなかったようだ。

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