新型コロナウイルスから逃げる「満員電車」の乗り方とは

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 人込みは避けろ! 不要不急の外出はやめろ! これが現在の日本の合言葉となっているが、毎日の通勤は避けようがない。満員の密閉された空間の中で、ウイルスの魔の手から逃げる知恵はないのだろうか。

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 新型コロナは、「飛沫感染」「接触感染」の二つの経路があると言われている。すし詰めの車内でこれら二つのルートをシャットアウトする知恵が必要である。

「飛沫感染」について、

「ウイルスが鼻と口から入らないように、マスクを付けるのはもちろん有効です」

 とは、国際医療福祉大学の松本哲哉教授(感染症学)。

「マスクがない場合は、壁際に行き、壁の方を向いて立つのが良いと思います。直接飛沫を浴びるリスクを下げられるはず。また、目の粘膜を通して感染する可能性もあります。コンタクトと眼鏡、両方を持っている人は、眼鏡で外出するのが良いでしょう」

 裸眼の人も、

「気になるのであれば、花粉症予防で売られている眼鏡を掛けてみるのも良い。隙間ができにくいので、普通の眼鏡よりも効果はあるでしょう」(同)

 続けて、

「今回の新型肺炎は、咳が特徴です」

 とは、同じく国際医療福祉大学の和田耕治教授(公衆衛生学)である。

「くしゃみよりまずは咳に注意。この季節、くしゃみの方は花粉症の可能性も高いですからね。マスクをせずにものすごく咳をしている人が乗っていたら、できる限り距離を空ける。それが無理なら降りて違う車両に乗る。そんな選択があっても良いかもしれません」

「接触感染」について解説するのは、医学博士の中原英臣氏。

「ウイルスが付着している可能性がありますから、手すりや吊革につかまらない、これが基本です」

 ウイルスは金属やプラスチックに付着した場合、最大48時間生き続けることも。

「効果的なのは手袋をすること。これで更なる防御になる。ただ、気を付けてほしいのは着脱です。ウイルスが付着したままですから、布製のものを使い、毎日煮沸消毒するのが良い。楽なのは、ビニール製の使い捨てです。そのまま捨てれば良いので、無用な心配がありません。私も毎日使っていますよ」

 価格も100枚で300円程度とお手頃だし、現状、品薄でもない。すぐに出来る予防法だ。

 もっとも、これらとて、既にキャリアー100万人とも指摘される感染爆発の前では、十分とは言えないのは自明の理。後手誤手の対応で市中にウイルスを蔓延させた現状の政府のあり方こそが、満員電車よりもよっぽど恐ろしいリスクと言えるのだが。

週刊新潮 2020年3月5日号掲載

特集「『感染者百万人』という脅威」より

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