今季が正念場 “崖っぷち監督”は日ハム「栗山」、DeNA「ラミレス」、それ以外にも…
いよいよ開幕まであと一カ月を切ったプロ野球のペナントレース。今年は広島、ヤクルト、楽天の3球団が新監督を迎えてのシーズンとなるが、来季も指揮を執ることができるのは12人の監督のうち何人となるのか、昨年までの戦いぶりや今シーズンの展望から占ってみたい。
12球団の監督の顔ぶれと監督としての成績(複数回、経験がある監督は現政権での成績)は以下の通りだ。
【パ・リーグ】
西武:辻発彦(4年目:247勝176敗6分け 勝率.584)
ソフトバンク:工藤公康(6年目:425勝274敗16分け 勝率.608)
楽天:三木肇(1年目)
ロッテ:井口資仁(3年目:128勝151敗7分け 勝率.459)
日本ハム:栗山英樹(9年目:576勝542敗29分け 勝率.515)
オリックス:西村徳文(2年目:61勝75敗7分け 勝率.449)
【セ・リーグ】
巨人:原辰徳(2年目:77勝64敗2分け 勝率.546)
DeNA:ラミレス(5年目:280勝279敗13分け 勝率.501)
阪神:矢野燿大(2年目:69勝68敗6分け 勝率.504)
広島:佐々岡真司(1年目)
中日:与田剛(2年目:68勝73敗2分け 勝率.482)
ヤクルト:高津臣吾(1年目)
正念場という意味で真っ先に名前が挙がるのが日本ハム・栗山監督になるだろう。昨年は王柏融、金子弌大などの大型補強で優勝を狙ったが、夏場に急失速して、まさかの5位に終わり、シーズン終了後には進退伺も出している。最終的には8年間の実績を評価されて続投となったが、1年契約となっている。球団もこれまでは高校生中心のドラフトを続けてきたが、昨年は社会人、大学生の投手を多く獲得しており、短期的な視点に立っているように見えた。ここまでチームが勝ちに来ているだけに、続投を勝ち取るためには優勝以外にないという状況と言えるだろう。
栗山監督の次に在任期間が長い、ソフトバンク・工藤監督は今季から2年契約を結んだが、次いで長いDeNA・ラミレス監督は1年契約となった。4年間でAクラスに3回入り、昨年は優勝した1998年以来最高順位となる2位になるなど結果を残してはいるが、球団からの評価は決して高いわけではなさそうだ。ラミレス監督自身が謝罪しておさまったものの、一昨年にはコーチとの間に軋轢があったことも認めている。主砲の筒香嘉智がメジャーに移籍して苦しい状況ではあるが、昨年以上の結果を残さなければこちらも続投は難しそうだ。
今季で2年目のオリックス・西村監督も置かれている状況は厳しい。ヘッドコーチから昇格する形で昨年から監督に就任したが、チームは3年ぶりの最下位。ヘッドコーチ時代を含めると4年連続で結果を残していない。若手投手が台頭し、大物外国人のアダム・ジョーンズを獲得するといったプラス要因は多い一方で、生え抜きではないだけに球団からのプレッシャーも大きくなっているように見える。オリックスは過去を振り返っても石毛宏典やコリンズ、岡田彰布、森脇浩司とシーズン終了を待たずに解任、もしくは休養に追い込まれるケースが多いだけに、シーズン序盤から結果が求められることになりそうだ。
一方で結果を残しながらも最終年になる可能性が高いのが辻監督だ。就任3年間でリーグ優勝2回、2位1回と3年連続Bクラスに沈んでいたチームを見事に立て直している。だが、その一方でクライマックスシリーズでは3年連続で勝ち進むことができなかった。今年が2年契約の2年目であり、本人も繋ぎの監督であると明言していることから、よほどの好結果でない限りは退任が濃厚と言えるだろう。
就任1年目ながらいきなり正念場となるのが三木監督である。チームは一昨年の最下位から昨シーズンは3位に浮上し、オフにも大型補強を断行して優勝に向けて力を入れている状況だが、その一方で平石洋介前監督の解任を巡り、石井一久GMへの風当たりが強いのも事実である。また、楽天の歴代監督7人のうち4人は1年で退任となっているというデータも不吉だ。球団とは複数年契約を結んでいると見られるが、結果を残した前監督を切り、大型補強をしたうえで結果を残せなければ、石井GMとともに退任ということも十分に考えられるだろう。
このように見てみると、来季以降も安泰と考えられる監督は非常に少ない。また田口壮(オリックス)、三浦大輔(DeNA)、松井稼頭央(西武)、小笠原道大(日本ハム)、阿部慎之助(巨人)といった生え抜きの元スター選手がコーチや二軍監督を務めている球団は非常に多く、彼らを監督として抜擢したいという動きも少なからずあるはずだ。そういった監督の世代交代が進む年となるのか。そういう視点でもペナントレースに注目してもらいたい。