【新型コロナ】横浜の感染者が感染の情報公開を拒否 会見も中止 本人の同意は必要か

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パニック状態に陥って

「NHK NEWS WEB」は、この感染者について横浜市内に住み、新型コロナウイルスの感染者に濃厚接触。発熱などの症状はない、とだけ報じている。

 1人目の感染者について公表された情報とは雲泥の差である。そもそも感染者の情報を公表するにあたり、本人の同意は必要なのか。性別や年齢が公表されても、本人特定にはならないはずだ。

「2人目の感染者が確認されたのは、20日の夜でした。ご本人はすごいショックを受け、興奮していました」

 と解説するのは、横浜市健康福祉局の健康安全医務監である。

「こちらとしては、感染者から聞き取り調査を行って、記者を集めて会見の準備を整えていました。あとは本人の同意だけ取れれば問題なかったのですが、感染者情報を公表してもよろしいですかと問うと、頑なに拒否されました。パニック状態に陥っていて、何度も説得を試みても駄目でした。それで、会見をキャンセルせざるを得なかったのです。これでは会見しても、性別や年代も言えない、ボヤっとした情報しかお伝えできなかったので、取りやめた次第です」

 感染者情報を公表したところで、本人が特定されるわけではあるまい。

「本人の同意を取るかは、ケースバイケースですね。感染者情報を公表しないと、感染拡大につながる恐れのあるときは、感染者の同意がなくても情報を公開します。ただ、横浜市の2人目の感染者は、情報を公開してもしなくても、感染拡大する恐れはありません。すでに病院で隔離され、お見舞いなど外部の人と接触できないよう、また、院内感染も起こらないよう万全の対策を敷いています。ですから情報を公開するにあたっては、ご本人の同意を求めました」

 頑なに情報公開を拒否した理由はなにか。

「新型コロナウイルスは、短期間でこれほどまでに感染が拡大していったわけですから、世間での注目度は極めて高い。ご本人は、世間からどう思われるかと恐れたようですね。ネットの中には、ひどい書き込みもあるようですから、感染者の情報を公開することで、自分のことが世間に知られてしまうのではないかと思ったようです。情報公開といっても、名前を出すわけではありませんから、感染者が特定されることはありません。ご本人は、パニック状態にありましたから、自分の情報を公開されることを嫌がったのです」

 この感染者について、今後情報を公開することはないのか。

「メディアに情報をお伝えするのが行政の役割の一つですから、折を見て、感染者が落ち着いたら、情報公開に同意願えるよう説得を試みるつもりです」

 自治体によって公開される情報の内容にバラツキがあることをどう思うか。

「当初、国の方針によると、性別と年齢の年代を公開。住まいは都道府県単位までで、国籍は伏せるということになっていました。ところが、国が国籍についてしゃべるようになったのです。記者会見では言わなくても、その後のぶら下がり取材で、しゃべっているんですね。それでだんだんと情報公開の基準が崩れてきた。自治体によってバラツキが出たのはこのためです。感染者の通勤経路などは、例えば、2月中に一回、東海道線に乗ったという情報では、これを公開しても不安に陥れるだけで、感染防止には繋がりません。〇月△日の何時何分に、東西線に乗ったという情報なら、感染防止に繋がります。感染を防ぐ有効な情報であれば、今後も積極的に公開していく予定です」

週刊新潮WEB取材班

2020年2月24日掲載

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