韓国映画「パラサイト」にテレビ東京が出資のナゼ 社員のボーナスアップは確実
「テレ東しかできない」の声
翌日の18日は「ブルドッグ」[03年/監督:F・ゲイリー・グレイ(50)/配給:ギャガ]を放送した。主演はヴィン・ディーゼル(52)で、こちらはご存知の方も多いかもしれない。とはいえ、「となりのトトロ」のように視聴率を15%も稼げる映画でないのは間違いないだろう。
もちろん「007」シリーズや「ミッション:インポッシブル」シリーズの放映など、メジャーなヒット作品も放送されている。だが、テレ東らしいチョイスが多いとは言えるだろう。
「『午後のロードショー』の視聴率は平均すると1%くらいです。ただし1%を切ることもまずありません。堅調という言葉を使いたくなるほどです。要するに固定ファンがしっかりついているわけです。映画の放映権料は平均すると50万円から100万円ぐらいのはずですが、黒字になっています」(同)
この関係者は「こうした伝統が、テレ東社員の映画作品を見極める“目利き力”を高め、長く築いてきた人脈もあって、『パラサイト』に出資という離れ業をやってのけたのだと思います」と評価する。
「他のキー局には決してマネができません」とも指摘するのだが、実際のところはどうなのか、テレビ東京に取材を申し込んでみた。
質問項目は、「出資の経緯」、「アカデミー賞を受賞した感想」、「地上波放送の予定」などを依頼したが、最終的にはコンテンツ事業局から文書での回答が寄せられた。
《テレビ東京は「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(1989)[【編集部註】監督:スティーヴ・クローヴス(59)/配給:ギャガ・コミュニケーションズ(※当時)]以来、外国映画の国内権利への出資をコンスタントに続けており、カンヌ国際映画祭等のフィルムマーケットにも毎年参加しています。
昨年のカンヌ国際映画祭で「パラサイト 半地下の家族」のワールドプレミア上映を観る機会に恵まれました。スピーディーで予想外のストーリー展開、昨今の世相を映し出しつつも見事なエンタテインメントである作品の圧倒的な力強さに魅了されました。
この特別な作品にどうしても関わりたい、と強く願いました。
早速、映画祭の会期中(パルムドール受賞前)に、日本国内の権利を買い付けられたビターズ・エンドさんに出資の可能性についてご相談させていただいた次第です。
パルムドール受賞は帰国後、ネットの生配信で知りました。エンタテインメント性が高い作品の受賞は非常に嬉しいニュースでした。
ワールドプレミア上映中、会場の観客が同じ場面で笑い、息をのみ、時には騙され熱気が盛り上がっていくさまを目の当たりにし、韓国やアジアにとどまらず国境を越えて共感を得られる作品になると確信しました》
ここで改ページとなるが、回答はまだ続く。
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