鈴木杏樹不倫の“被害者” 貴城けいに見る元タカラジェンヌ「その後」の厳しさ

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天海、真矢の苦労

 とはいえ、天海も真矢もハナから勝ち組だったわけではない。天海は1995年に退団後、「クリスマス黙示録」という日米合作映画に主役級で出演したが、かなりのB級作品だった。

「その後も、芥川の『藪の中』を翻案した映画『MISTY』でも主演のひとりでしたが、作品は当たらず。天海が認められたのはテレビドラマ『女王の教室』。これが2005年ですから、下積みは10年になる」

 天海から3年遅れて退団した真矢も、

「実力派女優として評価されるようになったのは、03年の映画『踊る大捜査線』第2作から。トークのうまさは歌劇団の歴代トップクラスでしたが、ワイドショーのMCに起用されたのはごく近年のこと。何もジェンヌに限りませんが、歌にダンス、容姿、演技力、トーク、事務所の後ろ盾とかキャスティングする側との人間関係、時代の要請(前述の『ランキング』など)、加えて運といった要素が芸能界生き残りには必須です」

 現在は、バラエティ番組などでの露出もあり、「ちょっとトボけたキャラの元タカラジェンヌ」のように売り出すトップもいる。

「10年に一人の逸材と言われた柚希礼音(ゆずきれおん)(40)というトップがいました。彼女は退団の際に芸能事務所が争奪戦を繰り広げたほど。結果、大手のアミューズが彼女を獲得したんですが、いまひとつパッとしない。ミュージカルやショーに出演してきましたが、世の中を席捲しているとは言い難い。実力はピカ一。ただ、日本にミュージカル文化が育っていないということもありますね」

 柚希はいわゆる芸能人の格付け番組に出演したことも。そこで彼女は、ストラディバリウスと一般的なバイオリンの音色を聞き分けられず、最高級とそうではないトロンボーンの音も区別がつかないという“失態”を演じた。視聴者は音の専門家のスベリ芸に苦笑しただろうし、他方、複雑な思いを抱いた宝塚ファンは一人や二人じゃないはずだ。

 中堅ウォッチャーにも聞いてみると、

「そもそも彼女たちはバラエティの訓練を受けていませんからね。上級生は絶対だし、廊下を曲がる時、下級生は直角に曲がるようにしつけられる。そこはかわいそうなところかもしれません。食べられない元ジェンヌの中には、昔であれば、それこそ親会社の阪急電鉄系列のホテルのフロント係になった人もいるし、応援してくれるファンの中に宝石商がいて、その店舗を任されたり。あとは、実家に帰って家業を継ぐパターンですかね」

 他には、

「宝塚の受験スクールを経営する人もいるみたいで、儲かっているようです。なにしろ、宝塚音楽学校に入学できるのは1年40人。中学3年生から高校3年生まで受験資格があるとはいえ、狭き門ですから。あとはヨガやバレエの教室。ファンが来てくれるので生徒には困らない」(同)

(2)へつづく

週刊新潮 2020年2月20日号掲載

特集「大女優から薬物疑惑まで残酷な明暗! 『貴城けい』で見えた元『宝塚』の『勝ち組』『負け組』」より

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