生徒に「足切るぞ」教師の真相 地元からは擁護の声

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「先生だけ悪者に…」

 遠山課長の話を続ける。

「理科と図工だけは、女性教員とは別の教員の受け持ちでした。その理科の時間、“3人が近くの子にちょっかいを出したりしていた”。ほかの子からそう聞かされた女性教員は休み時間に呼び出しました。以前、3人が授業中に立っているのを見たことがあったようで、ノコギリを持ち、“何度言ったら分かるの。授業中に歩けないように足を切るぞ”と叱ったのですが、そのときは席を立っていなかった。女性教員はこの勘違いによる指導を3人に謝り、後日、保護者にも理解していただいていたのです」

 それが1月20日。市教委は事態を見守る構えだった。

「ですが、誰かが外部に洩らして騒ぎになりました」

 4年生の当該クラスの保護者は憤りながらこう話す。

「養護学校での勤務経験もある、ベテランのいい先生です。厳しい面もありつつ、面白おかしい冗談も言って授業を盛り上げてくれる方。呼び出された3人も授業中に走り回ったりしていたことがあったそうなので叱るのは当然じゃないですか。なのにこんな形で報じられてしまい……」

 女性教師は担任を外され、職員室で待機となった。

「今回の件が報じられるまで、不調を訴えたりする子は皆無でした。子どもはまったく気にしていなかったわけです。でもいまは、“先生が悪いことをしたわけじゃないのに、なんで先生だけ悪者になってしまうの”と、学校に行きたがらなくなってしまった子もいるほどなんですよ。校長による説明会もありましたが、先生を責めるどころか擁護する声が多かったのに」

 情報提供を受けた地元メディアは、実態をもっときちんと取材すべきではなかったか。

週刊新潮 2020年2月20日号掲載

ワイド特集「仮面に告発」より

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