週刊新潮が聞いた野村克也さんの「ボヤキ」「毒舌」語録

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イチローにもダメ出し

 掲載こそされなかったが、ノムさん、このインタビューではONについて、こんなふうにも語っていた。

「長嶋、王って見ていると、“名選手必ずしも名監督ならず”には根拠があるよね。すべて自分で判断してしまう。そして、選手に“そんなこともできないのか”っていう感覚を持つんです。でも、速く走る、球が速い、遠くへ飛ばすっていうのは努力ではなく、天性だから。彼らに監督、コーチは無理ですよ。選手はかわいそうですよ」

 近年の巨人の監督にも手厳しかった。

〈「若い時の苦労は買ってでもしろ」って言うけど、昔の人は良いこと言うね。人間、下からは上が良く見える。(中略)逆に恵まれた環境の中だけで生きていると、下が見えない。原(辰徳)や高橋(由伸)はお坊ちゃん監督よ。大卒で2軍経験もほとんどないエリート育ち。(中略)若い時の経験は自ずと采配や選手起用に出てくる。監督が苦労知らずでは、天性だけに頼る坊ちゃん的な野球しかできないのは当然よ〉(同)

“坊ちゃん”といえば、薬物事件を起こした清原和博氏についても、

「清原っていうのは球界のお坊ちゃま。みんな甘やかしすぎだよ。こないだ森(祇晶・元西武監督)に“清原をあんなふうにしたのはお前だよ”って言ったら“俺は関係ねぇよ”と。“PLから最初に入ったのはお前のとこだろ。お前が教育せんかったからああなったんだ”って言ってやったよ」

 と森氏もろともぶった斬っていた(未掲載部分)。

 極め付きは、19年5月16日号「『野村克也』が語る『孤独との向き合い方』」でのイチロー評。引退直後ということで尋ねてみると、巷は“お疲れさま”ムードにもかかわらず、

〈監督に向いているのは川上哲治さんや西本幸雄さんのような、選手から尊敬される人物です。(中略)イチロー自身が「人望がない」と言っていましたけど、監督としてダメだと思いますよ(笑)。彼は人を小ばかにするような態度をとることがある。選手としてはよくても、監督としては難しいんじゃないですか〉

 こんな珠玉の毒舌ももう聞けない。合掌。

週刊新潮 2020年2月20日号掲載

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