「巨人」「西武」に弱点あり プロ野球「駆け込み補強」が必要な球団は?
2月に入りいよいよ球春到来の時期となったが、キャンプイン直前の1月28日に楽天がオリックスを自由契約になったロメロを獲得すると発表した。オフの主役とも言える球団が、シーズンまでに更に活発な動きを見せている。過去にもこの時期に大型トレードの成立や、去就の決まっていない選手の獲得が発表されることがあり、シーズン開幕までに動きが出ることも十分に予想される。そんな“駆け込み補強”が必要な球団はどこなのか、弱点を考えながらピックアップしてみた。
やはり、必要性が高いのは昨年下位に沈んだ球団である。パ・リーグ最下位のオリックスは貧打線解消の切り札としてメジャー通算282本塁打を誇るアダム・ジョーンズを獲得したが、それだけではやはり不十分だろう。特に気になるのが捕手の層の薄さである。支配下登録されている捕手は6人。そのうち山崎勝己は今年で38歳の大ベテランであり、また2年目の頓宮裕真も昨年は主に内野手としてプレーしていることを考えると手薄な感は否めない。レギュラー格の若月健矢は昨年リーグトップの盗塁阻止率をマークしているが、打率.178、出塁率.241という数字を見ると万全の正捕手とは言い難い。一昨年は高城俊人(既に退団)、昨年は松井雅人をいずれもシーズン途中のトレードで獲得しているが、今年も状況によっては、トレードの必要性が出てくることは十分に考えられるだろう。
成績次第では、栗山英樹監督の最後のシーズンとなる可能性もある日本ハムも楽観視できない状況だ。野手は清宮幸太郎、渡辺諒、平沼翔太など若手の成長が見込めるが、一方の投手陣はリリーフのコマ不足が明らか。昨年はヤクルトからトレードで獲得した秋吉亮が25セーブをマークしているが、防御率は2点台後半と安定感はもうひとつ。最も頼れるのがベテランの宮西尚生という状況が続いている。二軍を見てもブレイクしそうな若手があまり出てこない。ドラフトで社会人投手三人を指名しているが、場合によっては得意の大型トレードを仕掛ける必要も出てくるだろう。
セ・リーグで最下位に沈んだヤクルトは、崩壊していた投手陣を立て直すためにドラフト上位で4人の投手を指名。また固定できていないショートにも、メジャーでゴールドグラブ賞に輝いているエスコバーを獲得するなど、積極的な補強を見せている。しかし、7年連続Bクラスに沈んでいる中日はドラフト以外では目立った補強は見られていない。特に気になるのがリリーフ投手陣だ。昨年は開幕当初は鈴木博志、シーズン中盤はR.マルティネス、終盤は岡田俊哉が抑えを務めたがいずれも安定感には欠けるピッチングが目立った。そして、セットアッパーとして活躍したロドリゲスがメジャー復帰で退団。新外国人としてゴンサレスを獲得しているが、ロドリゲスの穴を埋めるのは容易ではない。福敬登や藤嶋健人などが伸びてはきているが、今の状況では、昨年と同様に終盤で競り負ける試合が多くなることが予想される。さらなる新外国人の獲得や、トレードで上積みをしたいところだ。
ここまで下位に沈んだ球団を取り上げたが、昨年リーグ優勝を果たした西武と巨人も穴は少なくない。西武は投手陣の弱さより気になるのが秋山翔吾の抜けた外野の穴だ。FAで福田秀平の獲得を目指したが失敗し、新外国人のスパンジェンバーグも外野は守るものの本職は内野手。金子侑司以外はレギュラーが白紙の状態である。秋山が昨年マークした得点はリーグトップの112。この数字を埋めるためにも、追加の補強は必要ではないだろうか。
巨人で気になるのは投手陣だ。昨年チームトップの15勝をマークした山口俊の穴埋めとしては、新外国人として昨年KBO(韓国プロ野球)で17勝のサンチェスを獲得した。しかしエースの菅野智之も故障の状況が気がかりで、三番手以降の名前もスムーズには出てこない。またリリーフ陣も40試合以上登板して最も防御率が良かったのは中川皓太の2.37であり、シーズン途中で加入したデラロサも万全とは言い難い内容だった。キャンプやオープン戦で投手陣の仕上がりが良くなければ、積極的に補強に動く可能性もあるだろう。
メジャーと比べて、日本のプロ野球はシーズン途中のトレードや補強は活発ではないが、現役ドラフトの導入も現実的になってきており、それをきっかけに変化することも十分に考えられる。各球団、今後のチームの仕上がり状態を見てどう動くのか。シーズン直前、またシーズンに入ってからの動向にもぜひ注目してもらいたい。