韓国軍は“性転換”兵士をなぜクビにしたのか 本人は女性兵士として再入隊を希望

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“最後まで挑戦する”

 もちろん批判的な声もある。保守系の有力紙「朝鮮日報」は「休暇を取った戦車操縦士、女になって戻ってきた」との見出しで、「現役兵士の間では『休暇中に性別を変えてくるとは、どれほど軍紀が乱れているのか』といった反応も多い」と語る陸軍関係者の話を伝えた(2020年1月17日付)。また例によってネットでは、悪意あるコメントも多数見られる。そんななか「女性兵士が迷惑がっている」という話も流布されたが、「ソウル新聞」は複数の女性兵士の声として「問題ない」との反応を伝えた(同年1月20日付)。

 ピョン元下士は現在、除隊の決定を不服として軍に“人事訴願”を提起している。受け入れられなければ、行政訴訟を起こす方針だ。それでもだめなら、女性兵士として再入隊するという。韓国軍はトランスジェンダーの入隊を認めていないが、本人は「最高裁判決が出るまで、最後まで挑戦する」と述べている。

 今年1月30日には、同じく男性から女性への性別適合手術を受けた受験生が女子大学に合格し、入学を控えていることも報じられた。この受験生は昨年8月にやはりタイで手術を受け、同年10月に裁判所で性別の変更が認められたという。受験生は匿名でメディアの取材を受け、「ピョン下士の努力がむだにならないことを願う」と話した。

 かつて性に保守的といわれた韓国に、波紋を呼んでいるピョン元下士の除隊問題。変化し続けているこの国がどんな選択をするのか、見守っていきたい。

高月靖(ノンフィクション・ライター)

週刊新潮WEB取材班編集

2020年2月11日掲載

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