【前橋スナック銃乱射】矢野治死刑囚が刑の執行を待たず自殺した理由と「最後の手紙」

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自殺の「前橋スナック銃乱射」死刑囚から届いた最後の手紙(2/2)

 本誌(「週刊新潮」)に手紙を寄せ、警察が把握していない殺人事件の真相を明かした矢野治死刑囚が、1月26日、拘置所で自ら命を絶った(享年71)。矢野の告白の背景には、自身が関与し死刑判決となった「前橋スナック銃乱射事件」の黒幕の存在を、世に知らしめたいとの目的があったという。が、告白を受けての公判は「死刑執行の引き延ばし」だとして無罪を言い渡され、終了となる。これにより、黒幕を暴露する場は失われてしまった。

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 矢野がぶつかった「壁」はそれだけではなかった。

 実は、矢野が「穴から出してやって欲しい」と訴えていたのは斎藤と津川さんの2人以外(※前回記事参照)に、「第3の男」がいた。

 それは、矢野の指示で「前橋スナック銃乱射事件」の実行犯をフィリピンに逃がす手助けをし、その後、姿を消した矢野睦会の元組員、大山剛(仮名)だ。

 この大山に関して、矢野は自分ではない関係者が殺害した、と主張し、遺族宛ての手紙にはこう書いた。

〈大山を穴から出してやりたいのです〉

 一方、以前、本誌に届いた住吉会系組織の元幹部を名乗る人物からの手紙には、

〈私は、矢野の命令で大山を殺して埋めました〉

 と、記されていた。

「口封じのために殺した大山を穴から出してやって欲しい、と矢野が訴えていたのも、時間稼ぎのためでしょう。捜査が動きだせば、警察は、何らかの事情を知っている矢野に話を聞かざるを得なくなりますからね」(先の矢野の知人)

 しかし、全国紙の社会部デスクによると、

「矢野はいろんな事件について警察に仄めかしていたようですが、立件された2件以外は取り合ってもらえなかったと聞いています」

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