【前橋スナック銃乱射】矢野治死刑囚が自死 殺人の獄中告白は「黒幕への復讐」のため
自殺の「前橋スナック銃乱射」死刑囚から届いた最後の手紙(1/2)
まさかの幕切れである。約4年前の本誌(「週刊新潮」)記事によって警察が動き、被害者の遺体が発見された「死刑囚の告白」。その告白の主、矢野治が東京拘置所で自殺したのだ。なぜ刑の執行を待たずに自ら死を選んだのか。ついに明かされる「告白」の裏の真実とは――。
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「父が死んだ1月26日の午前9時半頃、私の携帯に東京拘置所から電話があり、『矢野治さんが亡くなっているのを確認しました。おそらく自殺だと思います』と言われました。それで夕方、拘置所に行って説明を聞いたのです」
言葉を絞り出すのは自殺した矢野治死刑囚(享年71)の遺族である。
「説明によると、朝、通常であれば起床する時間に起きてこなかったので、不審に思って刑務官が確認しに行ったら死んでいた、と。私は『首を切っていませんでしたか?』と聞きました。父は『前橋スナック事件』の後にも一度首を切って自殺を試みたことがありましたから。そうしたら、医者が『はい。2カ所切っていました』と言いました」
2カ所とは首の右側と左側で、死因は失血死だった。
「確実に死ぬという強い覚悟だったのでしょう。死ぬのは怖くないけど、会いたい人に会えなくなるのは嫌だという気持ちは持っていたと思います。父が何を使って首を切ったのかは教えてもらえませんでした」
住吉会系暴力団「矢野睦会」の会長だった矢野は、一般人3人を含む4人が殺害された「前橋スナック銃乱射事件」で2014年に死刑が確定。その後、同年末と翌年、警察が把握していない2件の殺人事件への関与を告白する手紙を本誌や警察に送り、捜査の結果、2人の遺体が発見された。
別の殺人事件への関与を自ら告白したのは、死刑執行を先延ばしさせるため、すなわち「延命」が目的と見られていた。その矢野が執行を待たずして自ら命を絶ったのは何故なのか。
「矢野の狙いは延命ではなく、時間稼ぎだった。ではなぜ時間が必要だったかといえば、彼は前橋事件には、自分に指示を出した黒幕がいることを世に知らしめたい、と考えていたのです。その黒幕がどうしても許せないからこそ、様々な手段を講じて時間稼ぎをしてきた。しかし、最終的にはそのどれもが壁にぶつかってしまい、自ら命を絶つことを考え始めたのでしょう」(矢野の知人)
「殺人告白」の動機は「黒幕」への復讐だったというわけである。実際、昨年、矢野が関係者に宛てて出した手紙にはこうある。
〈正義は報復の中にあるとの考えは危険かもしれませんが、このような生き方より出来ぬ男もいます〉
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