【新型コロナ】『マスクの品格』の著者に聞く 子供にマスクは着けさせるべきか
子供用マスクの必要性は?
それでは、いよいよ子供にマスクを装着させるか否かを考えてみよう。
「結論を先に申し上げると、厚労省の規準と同様のフィルターを用いた、子供用の防塵マスクを発売しているメーカーがあります。私の調査結果では、ぴったり子供の顔にフィットし漏れ率が相当に低い製品もありました。たとえ顔面とフィットせず、漏れ率が高くなってしまった衛生マスクでも、装着に少しでもメリットがあるのは大人用と同じです。ちなみに、ガーゼマスクはフィルターとしての機能に限界があります。大人用でも子供用でも感染防止には役立ちませんので注意してください」(同・大西教授)
装着に意味があると分かったとしても、着けさせること自体が大変という保護者もいるのではないだろうか。
小学生ならマスクの意義を説明し、装着を納得させることも可能かもしれない。それが保育園児や幼稚園児となると、理屈抜きでマスクを嫌がるケースも少なくないだろう。この時は、どうすればいいか。
「まず、感染リスクが高くパンデミックが迫った状況なのかどうか、感染者と接するような状況なのか、判断して行動する必要があります。その上で、幼児でも親がちゃんと説明すれば着用しているケースはあります。ただし嫌がる子供に無理矢理マスクを装着させたり、厳しく説教したり、感情的に怒ったりすると、子供は萎縮してしまいます」
大西准教授は「このデメリットと、マスクを付けることで得られるメリットと状況を鑑みて比較する」ことが重要だと指摘する。
「大人自身がマスクに対して冷静な対応が求められるように、子供に対しても冷静な態度が求められるでしょう。大人でもマスクの正しい使い方を理解できていないのに、子供に正しい理解を求めるのは無理だと言わざるを得ません。初めのうちは周囲にマスクをしている人が多いことを教えると、マスクを付けるという行為を受け入れてくれるかもしれません」(同・大西教授)
大人用であれ子供用であれ、コンビニやドラッグストアでマスクが適正な価格で売られていれば購入する。だがネット通販などを使って、無理に買い求める必要はない。まして自分自身が買い占めを行うべきではない。子供がマスクを嫌がる場合は、無理強いはさせない――。
もし新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、日常生活が復活したのなら、自分の顔に合う防塵用マスクを多めに購入し、家庭に備蓄しておくのは賢い手だ。
3か月分なら約100個という数になる。多すぎると思う方なら、1か月分の30個が目安になるだろうか————。
「日常生活で必要なマスクの数は、ウイルスが本当に猛威をふるい身近に迫った状況が、どの程度の期間、継続をするかによります。しかしそれまでにワクチンが開発され収束することを願いたいですね」(同・大西准教授)
そして最後に大西准教授は「どんなマスクも訓練とともに備えておかなければ、感染を防ぐアイテムにはならないことは肝に銘じて下さい」と呼びかけた。
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