新型コロナウイルスを拡散する「毒王」=スーパー・スプレッダーの正体

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徹底的な水際対策とは

 国際医療福祉大学の和田耕治教授(公衆衛生学)が解説する。

「まだ感染拡大していない今の日本の状況であれば、常にマスクを着用するよりも、人混みに出る際に新しいマスクをするといった方法が有効だと思います。というのも、マスクを着けたり外したりしている間に、マスクにウイルスが付着して汚れ、結局は効果が薄れてしまう。一度外したらその都度新しいマスクに替えるというのは現実的には難しいでしょうから、それならば、普段はしなくても、大勢の人がいる街中に出かける際には常に新しいマスクをすることを心掛けるのがよいのではないでしょうか」

 加えて、前出の松本院長はこう指摘する。

「新型コロナウイルスは、RNA型であると同時にエンベロープという膜に覆われたウイルスです。これはアルコールに弱い。したがって、しっかりと手洗いをした上で、アルコール消毒するのが有効だと思います」

 こうした予防策をとったとしても、所詮は「個人対策」。求められるのは国をあげての徹底的な水際対策なのではないか。

 先の石氏は次のように断じる。

「理論的に言えば、日本での感染を防ぐ最も有効な対策は、春節前から一切の中国人を入国させないことでした。それは差別でも何でもない。日本国家の主権であり、国民を守る行為に他なりません。少なくとも、何らかの入国制限はすべきでしたが、中国への政治的配慮からなのか、日本政府は武漢からやってくる飛行機を特別な検査もせずに離着陸させていた。人口1100万人の都市が封鎖されているのですから誰が見ても異常事態であり、日本も今後、思い切った措置を講ずるべきだと思います」

 最後に、この先の展望を和田教授が分析する。

「すでにこれだけ感染が拡大している以上、春節が過ぎれば終わりで2月か3月には収束、とはいかない。7月に始まる東京五輪の頃まで、ウイルス撲滅、騒動終結は長引くのではないでしょうか」

 五輪を象徴する月桂樹の王冠の輝きを、新型王冠(コロナ)ウイルスの「妖光」がかき消す――。こんな事態だけは是が非でも避けたい。

週刊新潮 2020年2月6日号掲載

特集「爆発的感染力で『パンデミック』! 武漢を脱出した日本人 留まった日本人に緊急取材『新型肺炎』との果てなき闘い」より

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