閉園「としまえん」 アメリカ大統領も感激した「世界最古級の回転木馬」

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 東京の老舗遊園地、としまえんが閉園を検討している、と3日報じられた。広大な敷地は公園やハリーポッターをテーマにしたテーマパークになる可能性があるという。

 新しいもの、刺激的なものに惹かれやすい子供が客層のメインとなる遊園地では、老舗ということはあまり大きな価値を持たなかったのかもしれない。

 しかし、としまえんにはここにしかない、誇るべきアトラクションが存在している。回転木馬「カルーセルエルドラド」だ。『ニッポン最古巡礼』(高田京子・清澤謙一)から、この回転木馬に関する項を引用してみよう。

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【回転木馬】欧米を流転し、練馬で回り続ける

 池袋から電車で約15分、住宅街の真ん中にある「としまえん」は大正15年開業(全面開業は昭和2年)、80年の歴史を持つ老舗遊園地だ。園内には“恐怖の空中航海”を体験できる「フライングパイレーツ」を始め、数々の迫カマシンが並ぶ。そんな中で異彩を放っているのが“カルーセルエルドラド”、常設で稼働中のものとしては世界最古の回転木馬である。

 回転木馬のルーツはヨーロッパにある。そもそもは馬上試合のトレーニング用に開発され、フランスでは1680年頃に機械化された記録があるが、遊具として楽しまれるのは1815年、パリのチボリ公園に設置された「カルーセル」が始まりとされる(『遊園地の文化史』中藤保則著、自由現代社刊)。

 19世紀半ばには回転動力に蒸気機関が利用されるようになり、現在の回転木馬に近い形になった。エルドラドは1907年、ドイツの娯楽機械製造者ヒューゴ・ハッセが「世界一豪華な回転木馬を作ろう」と、最新技術を投入して製作したもの。天井には各地の風景がこまやかに描かれ、アール・ヌーボー様式の見事な装飾の数々で埋め尽くされた姿は圧巻だ。

 外周直径約30メートル、高さ約8メートル、回転速度が異なる3つのプラットホームには、木馬、豚、ゴンドラ、馬車などが乗せられているが、すべて分解・移動できるように作られている。エルドラドはヨーロッパ各地のカーニバルを巡業した後、大西洋を渡って1911年、アメリカのコニーアイランドに登場。セオドア・ルーズベルト大統領もこの回転木馬に乗ったという。1971年に豊島園が買い取り、専門家がオリジナルの色合いに修復した。「子供の頃、これに乗ったことがある」と、エルドラドとの再会を喜ぶ年配のアメリカ人観光客もいるという。

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 料金は300円。豪華な装飾は十分インスタ映えもするはず。貴重なアトラクションに乗れるのも今のうちかもしれない。

デイリー新潮編集部

2020年2月6日掲載

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