伝説の麻薬Gメンが警鐘「我が子がこのアプリを使っていたら、ネット密売を疑え」
【大麻、覚醒剤の“隠語”】子どもがSNSでこの単語を使用していたら要注意
子どもたちがネット掲示板やツイッターで、次のような書き込みを閲覧していたら注意が必要だ。
〈氷、ブルーベリー、タマあります。宅配OK〉
“氷”は覚醒剤の隠語で、“ブルーベリー”は大麻の銘柄、“タマ”はMDMAを指している。
また、中高生が手を出しやすい大麻関連の隠語には、“ハッパ”や“クサ”以外にも、“キャベツ”、“野菜”、“88(ハッパの意味)”などが見受けられる。他方、
〈全国アイス専門。初回のみお試し0・1からのご注文を受けますので、お気軽にお問い合わせください。0・1:5000(初回のみ)、0・5:20000、P:1000〉
と、あたかも通販サイトと見紛うほど丁寧な説明書きを寄せるケースもある。
この“アイス”も覚醒剤の隠語で、以下は0・1グラム=5千円、0・5グラム=2万円を意味する。“P”はポンプ、つまり、注射器のことだ。
ネット密売では電子メールか携帯電話で注文し、指定の口座に入金すると宅配便や郵便で“ブツ”が届く。配達場所は郵便局留めも可能。その際、口座は架空名義、携帯もいわゆる飛ばし(他人名義)携帯が一般的である。子どもたちのネットの閲覧履歴はもちろん、銀行口座の動きにも目を光らせてほしい。
加えて、海外から郵便物が届いたり、ウエスタンユニオン(海外送金システム)を利用した形跡があったらより一層、注意してもらいたい。最近は、海外の密売組織がネットを通じて日本人と直接、取引するケースが後を絶たないからだ。
さらに厄介なのは、ダークネット(ダークウェブ)の存在だろう。
一般的な検索エンジンには引っ掛からないネット空間で、「Tor(トーア)」などの特定のソフトをインストールし、これを経由してアクセスする。12年に起きた「パソコン遠隔操作事件」では、容疑者は「Tor」で身分を秘匿して他人のパソコンを操作した。ダークネットの海外サイトには、メルカリなどの合法なフリマ通販サイトのごとく「違法」な商品が陳列されている。しかも、多少のIT知識があれば誰でも違法薬物を購入でき、誰もが密売人にもなれるのだ。
先述したように薬物犯罪は常に「人間」が引き起こす。酷なようだが、それは可愛い我が子も例外ではない。ネットを通じた取引では、多くの場合、密売人と顔を合わせることがないため、購入する側の罪悪感が極めて薄い。社会経験に乏しい未成年であればなおさらである。実際、昨年には、大麻の購入・譲渡にからむ一連の捜査で、沖縄県の高校生14人を含む20人以上の関与が取り沙汰された。
長らく薬物犯罪と対峙してきた私が折に触れて思うのは、「薬物犯罪は時代を映し出す鏡」だということだ。
社会の変化に伴って、薬物犯罪も日毎に進化を遂げている。なかでも、ネット密売はありとあらゆる面で薬物犯罪の在り様を変貌させた。子どもたちを違法薬物の魔の手から守るためにも、親御さん自身がネット密売の実態をきちんと理解すべきだと考える。
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