新型肺炎で中国、南北朝鮮が連鎖倒産に追い込まれる? 米国は“カメの論理”で舌なめずり
10日間で2・5%下げたウォン
鈴置:週明けの2月3日、韓国のウォンが売られ、危険水域とされる1ドル=1200ウォンに迫りました。2月4日は少し戻し、終値は前日比7・55ウォン高の1187・45ウォン。依然として2019年12月以来の安値水準です。
売られているのはもちろん、新型肺炎で韓国経済が大きな打撃を受けるとの読みからです。肺炎騒ぎが大きくなる直前の1月20日は1158・1ウォン。ソウル市場は1月24日から26日まで旧正月で休んでいますから、10営業日で約2・5%下げたわけです。
日本を除くアジア通貨も一斉に下げていますが、韓国ウォンの売られ方は際立っています。新型肺炎の震源地である中国への依存度が特に高いからです。
それでなくとも韓国経済は変調をきたしていました。基幹産業の半導体の不振と、主要な輸出先である中国経済の不調が原因です。
2019年の通関ベースの輸出額は前年比10・3%減。世界全体の貿易も縮小しましたが、日本のそれは5・6%減でしたから、いかに韓国の受けた打撃が大きいかが分かります。
ただ、半導体市況は2020年以降に回復するとの期待から、韓国政府はV字型回復を唱えていました。それが新型肺炎により「V」どころか「L」、下手すると経済規模が一気に縮小する可能性も出てきました。
そもそも、韓国は少子高齢化により、生産年齢人口が頭打ちになっています。昨年の実質経済成長率は速報値で2・0%と、2009年以来の低い伸びでした。が、これさえも公共工事とバラマキ福祉で、かなり無理して作った数字だったのです。
年金基金が買い支える株
――株式は?
鈴置:株も当然、新型肺炎を材料に下げていますが、KOSPI(韓国総合株価指数)の危険水域とされる2000にはまだ少し余裕があります。
ただ、政府の意向を受けたと見られる国民年金基金など、機関投資家が買い支えている側面が強い。2月3日には3072億ウォンも売った外国人に対抗して機関投資家が1703億ウォン買い、ようやく前営業日比0・13ポイント安の2118・88で食い止めました。
KOSPIもウォン同様に2019年夏ごろ、底値を付けています。同年7月の日本の対韓輸出管理強化など、日本との摩擦が原因でした。政治要因も「韓国売り」に拍車をかけたのです。
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