武漢から帰国の日本人2人が当初ウイルス検査を拒否 傍若無人な行動に出た理由を探る

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「これではバイオテロ」の声も

 朝日新聞(電子版)は1月29日の午後10時26分、「帰国者の入院、12人に 症状ない2人が検査に同意せず」と報じた。

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 ほぼ同じ時間帯で、NHKは「武漢の邦人200人余帰国 12人が入院 2人が肺炎と診断」とのニュースを電子版の記事として掲載した。

 この記事によると、武漢から初のチャーター便が200人を超える日本人を乗せて羽田空港に着陸したのは、同日の午前8時40分過ぎだったという。ちなみに、NHKの記事に「検査拒否」の文言は存在しない。

「検査を拒否した日本人が2人いる」————この事実が報じられ、世間に広まっていく過程で、YAHOO!ニュースのトピックスに記事が転載されたことも大きな影響を与えたに違いない。

 1月30日、時事通信の記事「安倍首相、帰国邦人の検査拒否『残念』 新型肺炎、政府が対策本部」がトピックスに掲載された。

 安倍首相は、この日の午前中に行われた参院予算委員会で2人がウイルスの検査を拒否したことに触れ、「大変残念だ」と発言。ニュースは更に拡散し、当然ながらSNSは異論で満ち溢れた。取材した記者が振り返る。

「SNSなどでは基本的に『信じられない』、『これではバイオテロ』という声が多く、『チャーター機の費用は2人に負担させるべき』、『武漢に送り返せ』といった過激な意見もありました。『氏名を公表しろ』という書き込みも少なくなく、政府が2人の個人情報を一切、開示しなかったことも影響したのかもしれません。結果、ネット上では揣摩憶測が乱れ飛ぶ事態となりました」

 目についたのが「本当に日本人なのか?」という疑問だ。中には「日本に帰化した外国人ではないのか」という根も葉もない書き込みも散見された。

 更にネット上ではよく見られる現象だが、“大喜利”的なウケ狙いの投稿も行われた。それらをまとめたサイトがいくつかあり、閲覧してみると、「宗教上の理由」、「偽装パスポートの発覚を恐れた」、「絶対に出社しなければならないブラック企業の社員」といった書き込みが紹介されていた。

 いずれにせよ、共通するのは「理解できない」という感覚だ。医療関係者も「ウイルス検査は、被験者に負担を強いるようなものでは全くありません」と語る。

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