サッカー強豪「神村学園」を保護者ら提訴 生徒が置かれた通信制の“劣悪な環境”

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劣悪な環境

 この男性が続けて話す。

「息子曰く、朝8時に練習が始まって、昼食を挟んで18時くらいまでサッカー漬けの毎日で、入学後は学習の時間など一切なかった。たった一度だけ、6月に寮の部屋でレポートを書かされたことがあって、その時に初めて教科書が配られたけど、書き終わるとすぐに回収されてしまった。上船監督は『勉強しなくていい』と言い放ったそうです」

 センターには教室などを備えた校舎はなく、生徒は寮と練習場を往復する日々。学びの場が与えられていなかったと、この男性は憤る。

「事前の見学会では、保護者を寮に案内して学習スペースを設けると言っていたのに、実際の建物はそれとは違う建物で、民間施設を借り上げた所でした」

 訴状には、1期生22名全員が寮に入ったが、1部屋に12名、残る1部屋に10名が2段ベッドで起居を共にしていたとある。特に12人部屋はベッドで部屋が埋まり、人が1人やっと通ることが可能な程度の空きスペースしかなかった。風呂もトイレも家庭用サイズのものが一つだけ。到底、全員が時間内に入浴できず、シャワーで済ます子もいた。劣悪な環境ゆえ胃腸炎が流行したなどと書かれているのだ。

 寮は賄い付きだったが、先の男性はこうも言う。

「契約した食堂から3食提供されると聞かされ、現地で試食した料理は、カツ煮がメインでサラダに小鉢もついて美味しいし、量もかなりあって、保護者たちは『これはすごい』と驚いた。けれど、入学直前にセンターは、朝と昼は寮母が作ると前言撤回し、その女性も折り合いが悪くなって1週間で辞め、最終的にはケータリング業者が提供する形になった。見学会の時とは質も量もまったく異なる貧弱なメニューだったのです」

 その一例が掲載の写真だが、食べ盛りのスポーツ少年たちにとっては明らかに物足りない内容なのだ。

 原告の一人である元生徒の母親(42)は、

「裁判を起こした元生徒9人のうち、我が子を含めて8人の体重が栄養不足で減っていたんです。最大10キロ近く体重が落ちた子供もいました。センターは糖質制限を子供に課したけど、ハチミツは認めていた。それで牛乳にハチミツを混ぜて飲み空腹を凌いでいました」

 (2)へつづく

週刊新潮 2020年1月30日号掲載

特集「これは教育か!? 強豪『神村学園』がレッドカードの淡路『サッカービジネス』」より

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