東京五輪なのに柔道の畳は中国製… 競技用具に不安の声が
東京五輪に四つの破綻危機――小林信也(3/3)
トライアスロン会場の水質・水温や、ボランティアの報酬など、東京五輪には避けて通れない課題がまだ残っている。スポーツライターの小林信也氏が迫る本特集の最終回では、選手たちのパフォーマンスにも影響しかねない“気象”と“競技用具”への不安を紹介する。(以下は「週刊新潮」2020年1月16日号掲載時点の情報です)
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また、大会日程に重大な影響を与えかねないのが台風だ。昨夏も大型の台風15号、19号が上陸、各地に被害をもたらした。関東地方を五輪期間中に直撃したら、競技の中止が懸念される。その場合、閉会式を順延する可能性はあるのか? 大会組織委員会スポークスパースンの高谷正哲(まさのり)氏に尋ねた。
「16日間の会期は絶対に延長しません。五輪憲章に定められているだけでなく、約30万人もの人々が関わる大きな大会です。1日延ばすことは、宿泊、交通の手配を考えただけでも不可能です」
大会前半の中止なら、会期中に調整できそうだが、終盤に台風が直撃したら?
「いま、あらゆる可能性に備えてシミュレーションしています。台風直撃が予想されたら、競技を前倒しで実施することもありえます。過去大会でメダルが決まらなかった例はないそうですので、東京大会でも全種目が実施できるよう万全を期します。ラグビーW杯で検討された別会場での開催は、オリンピックでは想定していません」
台風の対策はどうすればいいのか?
「上陸予想は5日前にはできます。進路も正確にわかりますから、東京直撃が予想されたら早めに日程変更する。大切なのは予備日です」
と、気象予報士の森朗氏が言う。
「ここ数年、7月下旬から8月上旬にかけて、必ずひとつは台風が日本に近づいています。一昨年7月末に来た台風12号は高潮被害をもたらしました。去年は7月27日に台風6号が和歌山、8月6日に台風8号が宮崎に上陸しています。8号の台風崩れが、北海道にも8月9日に雨をもたらしました」
8月9日といえば男子マラソンの予定日だ。
気になる気象データは他にもある。
「過去10年でこの時期に台風が来なかったのは10年と13年、2年ともすごく暑かった。13年は高知県で気温41度の日本記録が観測された年です。現在の海面水温状況から予測すると、今年も猛暑になりそうです。梅雨明けが開幕後まで遅れると、梅雨の終盤は激しい雨が多いため、下水道があふれて汚水が流れ出す心配もあります」(同)
台風がなければ猛暑。この時期の開催にはどこまでも苦難がつきまとう。
心配すればキリがないが、2020東京五輪最大の難問のひとつは、やはり自然がもたらす「夏の気象」のようだ。
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