脳みそ筋肉な「体育会系上司」との付き合い方 知っておくべき“5つのポイント”

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上司に“ホウレンソウ”

 山崎豊子の小説『白い巨塔』で描かれる大学病院も体育会系組織だという。

「『白い巨塔』は医学部付属病院内の権力構造を端的に表したもので、上意下達の世界。まさに体育会系です。これまで何度もドラマ化されましたが、いずれも視聴率が高かったのは、視聴者が共感したからです。これと似たようなことがまわりにあるからですよ。日本には、体育会系組織はスポーツに限らず、企業でも、官庁でも、どこにでもあります」

 体育会的な上意下達は、日本の組織の特徴ともいえるという。当然、そこに君臨するのは体育会系上司であることが少なくない。ならば彼らとどのように付き合えばよいのか。榎本氏に5つのポイントを挙げてもらった。

「まずは、組織の中では自己中心的になり過ぎないことですね。自分の主義主張を押し通すと異分子としてみなされ、排除されます。何でも自分を貫こうとするのではなく、優先順位をつけ、どうしても譲れない点以外は、相手の要求に従うことも受け入れなければなりません」

 組織で誤解されたり、失敗したりした時はどうするか。

「体育系組織で権力を持つ人は、親分肌な人が多い。偉そうに振る舞う代わりに、面倒見が良い。情に脆いところがあるので、下の人間が困って相談に来た時、自分は頼りにされていると思い好意的感情が湧きます。組織の中で誤解されたり、何かで失敗したりした場合は、上司に対して、報告、連絡、相談の“ホウレンソウ”を欠かさないようにすべきです」

 上司とは、適度な距離を保つことが必要だという。

「どんなに人格的に信頼できる上司でも、懐に入り過ぎてはいけません。職場の人間関係に深入りすると、面倒な問題に巻き込まれるからです。権力の中枢にいると、組織の論理で動かざるを得ないため、異分子を排除するいじめのような工作をするとか、最悪、不祥事に巻き込まれることもある。なので、体育会系の上司とは一定の距離を保つことが必要ですね」

 4つ目のポイントは?

「上司との良好な関係を保ちつつ問題に巻き込まれないようにするためには、自分なりの軸を持つ必要があります。会社からの評価が全てだと思ってしまうと、望むような評価が得られない場合、自信をなくして、自己嫌悪に陥ってしまいます。そういう人は、体育会系上司からみれば扱いやすい存在になります。良い評価を得るために、無理しても上司の意向に従って行動しようとするからです。自分の評価軸を持っていれば、会社から良い評価が得られなくとも、その評価には絶対的な価値を置いていないので、超然としていられるのです。日本郵政によるかんぽ生命の不正問題では、上からの評価がすべてと思い込み、業績を上げるために客に不利益になることが横行していました。自分の軸を持っていれば、客に不利益になることはしません。そのために業績が上がらず査定が下がっても仕方がないと思ったはずです」

 組織以外で、自分の居場所を持つことも重要だという。

「安定した心理状態を保つには、組織以外で自分の居場所を持つことですね。学校時代の気の合う仲間とか、趣味で親しくなった仲間など、気になっていることを遠慮なく話せる相手がいれば、最強の自分の居場所になります。上司のせいで不遇な面にあっても、耐えることができるからです」

週刊新潮WEB取材班

2020年1月31日掲載

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