脳みそ筋肉な「体育会系上司」との付き合い方 知っておくべき“5つのポイント”
日大アメフト部の悪質タックル、日本ボクシング連盟の不正判定、選手と対立した全日本テコンドー協会……。近年、体育会系組織の不祥事が相次いで起こり、世間の関心を集めている。あなたの会社ももしや体育会系組織では?心理学者でMP人間科学研究所代表の榎本博明氏は、体育会系組織の特徴と問題点を心理学の視点から分析した『体育会系上司 「脳みそ筋肉」な人の取扱説明書』を1月末に出版した。同氏に、体育会系の組織や上司と上手に付き合う方法を聞いてみた。
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経済同友会が2016年に実施した「企業の採用と教育に関するアンケート調査」によると、新卒者に対して企業が重視する体験は、「サークルや体育会等の活動」が47・9%で断トツの1位だった。2位の「海外経験」(8・5%)や3位の「アルバイト経験」(6・9%)を大きく引き離した。
「体育会系の学生は礼儀正しく、マナーが良く、目上の人を立てる。竹を割ったような性格の人が多いので、見ていて気持ちがいい。コミュニケーション能力が高く、人に対する気配りもできます。達成意欲があり、行動力、実行力も備わっているので、組織に適応しやすいのです」
と分析するのは、榎本氏。
「もっとも、企業から好まれる体育会系の学生は、権威主義的傾向が顕著に見られるので、上には絶対服従となります。上意下達ですね。判断はすべて目上の人に任せるため、自分の頭で考えない、思考停止を招く危険があるのです。こうなると、組織を疑わなくなり、ちょっと考えればおかしいと思うようなことがまかり通ってしまいます。監督やコーチなど、上の人間のパワハラ的言動を容認する会社の体質を醸成することになるのです」
体育会系特有の気配りも、上司への行き過ぎた“忖度”になりかねないという。
「忖度は、他人の心中を推し量るという意味で、けっして悪いことではありません。問題は、国会で議論された森友学園の土地を巡る疑惑のように、忖度によって判断を誤り、不適切な行動が取られることです。体育会系組織では、監督やコーチなどの意向を忖度して行動することが常習化し、忖度は当たり前だというように感覚が麻痺してしまう。それがときに不祥事につながるのです。上の意向を忖度して、不祥事が表面化したとき、上の人間は『そんな指示はしていない』と責任逃れをすることができます。日大アメフト部の危険タックルも、日本ボクシング連盟の組織的な審判の不正判定も、行き過ぎた忖度があったと言わざるを得ません」
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