ハケンの品格、半沢、SUIT…春ドラマは“続編祭り” オリジナル新作ドラマが消える日

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 女優の篠原涼子(46)が主演し、07年にヒットした日本テレビ系ドラマ「ハケンの品格」が、今年4月期に水曜・午後10時枠のドラマとして13年ぶりに復活する。

 07年1月期に放送された同ドラマは、篠原演じる時給3000円のスーパー派遣社員の派遣先で活躍する姿を描き視聴率は全話平均20.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。最終回は26.0%を記録していた。

 同じ4月期、TBS系は連続ドラマ「半沢直樹」の続編「半沢直樹(仮)」を、主演を前作に引き続き堺雅人(46)の主演で放送すること発表済みだ。

 13年7月期に放送された前作は、最終回の視聴率が42.2%と平成の民放連ドラ1位を記録していた。

「さらに4月期にフジテレビ系は月9枠で、織田裕二が主演し弁護士を演じたドラマの続編『SUITS2』を放送する予定です。この他、テレビ朝日系は、木曜午後9時枠で木村拓哉がボディーガード役を演じた『BG~身辺警護人~』の続編を制作するという話が出ています。7月期は五輪中継が入る関係で、各局4月期で勝負するようですが、どうやら“続編祭り”になりそうです」(民放キー局の編成担当)

 業界からもいくら何でも多すぎしないかという声も聞こえてくる。

 こうなると、オリジナル新作ドラマは年々少なくなるばかり・・。

 1月期の各民放キー局のドラマがスタートしたが、ゴールデン・プライム帯(午後7時から11時)に放送されているオリジナル新作ドラマは以下の5本である。

「10の秘密」(フジテレビ系、向井理主演、火曜午後9時)

「知らなくていいコト」(日本テレビ系、吉高由里子主演、水曜午後10時)

「ケイジとケンジ~所轄と地検の24時~」(テレビ朝日系、桐谷健太&東出昌大主演、木曜午後9時)

「アライブ がん専門医のカルテ」(フジテレビ系、松下奈緒主演、木曜午後10時)

「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(日本テレビ系、横浜流星&清野菜名主演、日曜午後10時半)

 このうち、初回12.0%を記録した「ケイジとケンジ」のみが2ケタスタート。残るドラマは、初回より第2話の視聴率がダウンし、今後“低空飛行”しそうな気配が漂っている。

「昨年のオリジナル新作ドラマでヒットしたと言えるのは、いずれも日本テレビ系の『3年A組-今から皆さんは、人質です-』、『あなたの番です』、そしていずれもTBS系の『ノーサイド・ゲーム』、『グランメゾン東京』の4本くらいでしょう。日テレの2本は謎解きなどがSNSで大盛り上がりして回を重ねるごとに数字をあげました。『ノーサイド』はラグビーW杯の直前まで放送され、原作の映像化権をめぐって争奪戦が繰り広げられる池井戸潤氏の作品。そして、『グランメゾン』は固定ファンがいるキムタクが主演。それぞれ数字を取れる要素がありました」(テレビ誌記者)

 かつては、気概のあるテレビマンたちが、続々と後世に名を残すようなオリジナルの新作ドラマを生み出していた。

 しかし、近年はすっかり人気コミック・小説などの“原作頼み”、もしくは、人気シリーズの続編ドラマ主流になってしまっている。

 つまり、視聴者は新鮮さにあふれたドラマに触れる機会が激減してまたことになる。いくら人気ドラマの続編は手堅いとはいえ、ほかにも理由がるはずである。

「昔は自分で名作を生み出し、早く独立しようという人がたくさんいました。しかし、すっかりクリエーター志望のテレビマンが激減。それよりも、早く出世してプロデューサーなどの肩書を手に入れたい人が増えたのです。各民放キー局の予算は削られ、WOWOWやネット配信サービスの方がクオリティーの高いドラマを生み出しています。それに、数字ばかりがクローズアップされるので安全策を考えると、オリジナルの新作はリスクが高い。そのうち1クール中で0本という事態を迎えるかもしれません」(放送担当記者)

 いずれにせよ、こんな状況では若者を中心としたテレビ離れがさらに加速するばかり・・。

週刊新潮WEB取材班

2020年1月30日掲載

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