イランの“反政府デモ”がかなりヤバい、イラン国民とアメリカが本気で考えていること
かつては親米国
イランで反政府デモが止まらない。欧米も日本のメディアも注視している。主な記事の見出しをご紹介しよう。出典は全て電子版だ。
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◆「イランで撃墜巡りデモ 最高指導者の退陣要求も」(日本経済新聞:1月12日)
◆「ミサイル誤射、イラン揺さぶる米国 反政府デモ支持表明」(朝日新聞DIGITAL:1月12日)
◆「イランで2日連続の反政府デモ 旅客機撃墜を受け」(BBC NEWS JAPAN:1月13日)
◆「イランで連日抗議デモ、『敵はここにいる』と指導部の退陣要求」(ロイター:1月13日)
◆「イランで反政府デモ 撃墜対応巡り『うそつき』」(東京新聞:1月13日)
◆「イラン反政府デモ3日目、けが人や発砲の情報も トランプ『抗議活動者を殺すな』」(Newsweek日本版:1月14日)
こうして並べてみるだけで、イランでは反政府デモが先鋭化、ハメネイ師(80)の退陣を要求していることや、デモをアメリカが支援していることが分かる。実際にどのような国内情勢になっているのか、中東研究家の佐々木良昭氏に聞いた。
「欧米の経済制裁により、イランでは薬品すら不足する事態になっているようです。2002年に当時のジョージ・ブッシュ大統領(73)が年頭教書、でイランを『悪の枢軸』と批判したことをご記憶の方も多いでしょう。2000年代にイランの核開発疑惑が持ち上がり、欧米は経済制裁を行います。これでイランの経済は痛めつけられました。そして2019年11月にガソリンの値上げが行われたことで、大規模な反政府デモが発生しました」
もちろんイランは産油国なのだが、欧米の経済制裁で原油を輸出することが難しい。通貨であるイラン・リヤルは国際社会で信用を失って暴落、国内ではインフレが進行中だ。
イランは交通のインフラ整備が遅れているため、クルマ社会だ。政府は多額の補助金を出してガソリンを安価に供給してきたが、それも限界に達したという。
「値上げにイラン国民は反発、最初に南西部で反対のデモが起きると、燎原(りょうげん)の炎という表現がぴったりのスピードで全国に波及しました。そしてデモは次第に反政府的な主張が強くなっていきました。例えば北部ならアゼルバイジャンと国境を接しており、住民はアゼルバイジャン人と同じテュルク系です。彼らの国籍はイランですが、国内では“外国人”と見なされ、差別も横行しています。北部のデモは、『自分たちを差別しない社会の実現を目指す』という切実な動機があるのです」(同・佐々木氏)
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