ゴーン夫妻に一番の打撃は「外国資産差し押さえ」 金の亡者への対抗策

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 夫婦でともに“容疑者”となったカルロス・ゴーン(65)とキャロル夫人(53)。再婚同士で挙げたヴェルサイユ宮殿での式は80億円とも報じられ、その一部はルノーの資金を流用した疑いがもたれている。我利我利亡者だった夫妻だが、ここにきて、夫の斜陽も伝えられている。外信部の記者によると、

「たとえば米ブルームバーグ通信は、ゴーンの資産がこの1年で4割も減ったと報じています。ブルームバーグ独自の“億万長者指数”によると、推定約1億2千万ドル(約132億円)から約7千万ドル(約77億円)に激減したというのです」

 その主な理由については、

「多くの海外メディアが、保釈金15億円が没収され、逃亡計画に最大2千万ドル(約22億円)を費やしたといった試算をしている。ブルームバーグは、“ゴーン一族の巨万の富を圧迫するほどの額”とまで指摘しているんです」

 いずれにせよこうした莫大な蓄財は、大量のリストラで従業員を死屍累々の墓場に送ったうえ、卑怯で狡猾な手段によって会社の金庫を自分のサイフとした結果である。

 対する日産は、次のような力強い声明を出している。

〈ゴーン氏の不正行為について、同氏に対して責任を追及するという当社の基本的な方針は、今回の逃亡によって何ら影響を受けるものではありません。(中略)不正行為により被った損害の回復に向けた財産の保全や損害賠償請求など、適切な法的手続を継続して行っていく方針です〉

 そんななか、目下の話題は日産がレバノンで起こした立ち退き訴訟である。先の記者が解説する。

「レバノンにあるゴーンの“自宅”をめぐって日産が所有権を主張しています。この物件は敷地内に考古学的な価値のある墓もあるため、資産価値にすると18億円とされますが、もとは日産が10億円弱で購入した物件。改装費も出していて、ゴーンサイドの旗色は極めて悪い」

 しかも、これまでゴーンを世界的な成功者として英雄視してきたレバノンのメディアに、変化が見られるという。

「彼に批判的な記事も目立ちはじめているのです。それらによって、ゴーンがレバノンのワイナリーに出資したり、不動産開発事業に関与し金融機関に投資したりしていることも明るみに出た。今回の立ち退き訴訟のように、日産が可能な限り外国資産を差し押さえてしまうことがゴーン夫妻には一番の打撃となります。これまで送ってきた贅沢三昧の暮らしを奪われることが、なによりも避けたいことでしょうから」

 カネの亡者、ゴーン夫妻が重ねてきた数々の大罪。日本政府と日産は、打てる手を全て打って卑劣な犯罪者に対抗しなければならない。

週刊新潮 2020年1月23日号掲載

特集「『ゴーンvs.日本』九つの大罪」より

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