山下泰裕五輪委員「政府の操り人形」「英語力の低さ」怪文書でバッシング

スポーツ

  • ブックマーク

英語で抗議できず

 先の記者が補足する。

「山下さんがJOCの会長になったのは前任の竹田恒和さんが五輪招致に絡み贈賄疑惑を持たれていたから。にもかかわらず理事会を非公開にし、透明性が逆に欠如するような方策をとった。英語力も2000年のシドニー五輪柔道で篠原信一選手の“世紀の誤審”を覆せなかったのは、監督の山下さんが英語で抗議できなかったから、という苦い思い出があります」

 森氏についてはスポーツライターの小林信也氏が、

「山下さんは、森喜朗さんが主張するJOCと日本スポーツ協会(旧日本体育協会)の統合にも反対できていない。山下さんが出場予定だった1980年のモスクワ五輪を政府の圧力でボイコットしたのは、当時のJOCが日体協の一部門で、財源を握る政府に逆らえなかったから。その反省を踏まえ、JOCは日体協を独立したはずなのに、森さんの言いなりとは情けない限りです」

 IOCに尋ねると、

「新しいIOCメンバーの選出は秘密投票で、匿名の手紙の内容は考慮しない」

 と言うのみ。とはいえ、先の小林氏は山下会長の資質をこう分析する。

「昨年のテコンドー協会の不祥事では山下さんは表向き静観していながら、陰で前会長と事態収拾に動いていた。そうした、時代に逆行する談合気質な面があり、IOC委員としてふさわしいのか、疑問です」

 委員に就き、差し当たって“一本負け”は免れたけれど、怪文書の指摘はあながち間違っていなかった。

週刊新潮 2020年1月23日号掲載

ワイド特集「ガラスの人間動物園」より

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。