インドの「カレー」が日本の国民食になるまで 鳥取市が消費量日本一である3つの理由
1月22日は「カレーの日」であることをご存知だろうか。給食の大切さを知ってもらうため、1982(昭和57)年1月22日、全国の小中学校の給食で統一メニューが提供された。統一メニューを決めるため、47都道府県でアンケート調査を行った。結果、47都道府県で1位はすべてカレーだったことから、カレーが統一メニューとして出され、1月22日が「カレーの日」になったという。いまや国民食と言えるカレーは、インドからどのような経緯を辿って日本に来たのか。そして、日本独自のカレーはどうやってできたのか。今月、『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)を出版したカレーの第一人者、井上岳久氏に、日本人とカレーについて聞いた。
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カレーの発祥地であるインドで、初めてカレーらしき料理が誕生したのは、9世紀という。
「手がかりは、南インドの2つの寺院に残されている9世紀の刻文です。刻文とは、石や銅板に刻まれた文書のことで、アンバーサムドラム村にある寺院の刻文にはクートゥという料理があり、それはヨーグルトとカーヤムという調味料で作ると書かれています。ティルッチェンドゥール村にある寺院の刻文には、このカーヤムの材料として、コショウ、ターメリック、クミン、マスタード、コリアンダーが記されています。この5種のスパイスはカレーによく使われるものですので、9世紀にカレーに近い食べ物が存在していたと考えられます」
と解説するのは、井上氏。同氏は「横濱カレーミュージアム」のプロデューサーに就任後、カレー総合研究所、カレー大學を設立。これまで日本全国のカレー店8000店を制覇し、7000種以上のレトルトカレーを収集している、いわば“カレー博士”だ。
ヨーロッパ人が初めてカレーと出会うのは、16世紀の後半。オランダ人旅行家のヤン・ホイフェン・ヴァン・リンスホーテンは、著書『東方案内記』の中で、「魚はたいていスープで煮込み、米飯にかけて食べる。この煮込み汁をカリールという」と記述している。味については、「やや酸味があって、クライス・ベス(酢ぐりの一種)か未熟なぶどうでも混ぜたような味」とも。
「インドのカレーが、世界的に広がるきっかけとなったのは、イギリスが17世紀に設立した東インド会社です。東インド会社の社員で、初代インド総督のウォーレン・ヘイスティングズが、インドのスパイスの混合粉末を初めてイギリスに持ち帰ったと言われています。インド赴任中に食べたカレーをイギリスで再現しようとしたわけですね」
イギリスに伝わったカレーを初めて商品化したのが、クロス・アンド・ブラックウェル社(C&B)のカレーパウダーだった。このC&Bカレーパウダーは、19世紀の後半に日本に輸入されている。
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