ゴーン使用パソコンの提出拒否! なぜ弘中弁護士に強制捜査をかけないのか

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“無罪請負人”の弘中惇一郎弁護士(74)は、“逃亡請負人”となった。保釈を勝ち取り、日産自動車がつけた見張りも排除して、ゴーン逃亡のお膳立てをしたのである。そればかりか、ゴーンが使っていたパソコンの提出を拒む始末。事ここに至っては、強制捜査をかけてもいいのでは――。こうした見方について、司法記者が次のように語る。

「ゴーンは平日の朝から夕方まで、弘中弁護士の事務所のパソコンを使っていました。“いまさら感”はあるものの、逃亡後に地検がパソコンの任意提出を求めると弁護団は拒否。それで差し押さえ令状を取った地検が弘中弁護士のもとを訪れると、“押収は違法”と返り討ちにあったのです」

 弘中弁護士が行使したのは、刑事訴訟法105条に規定された「押収拒絶権」。

「平たく言えば、“弁護士は他人の秘密に関する物について押収を拒否できる”となります。でも、これだけ日本を貶(おとし)めているゴーンを守ることが正しいのでしょうか。検察上層部には、強制捜査、つまり“家宅捜索令状で押収すればよかったのに”とか、“村上ファンドの事件では、監査役の弁護士事務所に乗り込み、ガサをかけたじゃないか”との声もあがっています」

 仮に強制捜査に乗り出してパソコンを押収すると、

「弁護側から押収取り消しの準抗告を申し立てられるか、国家賠償法1条を根拠に損害賠償請求をされる可能性が高い。準抗告では取り消しの判例がありますし、国家賠償法で負けると、国が、弁護団やゴーンに対して賠償責任を負うことになる。これらのリスクがあるので、強制捜査には踏み切れないのです」

 しかし、と元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は言う。

「弁護団が拒否する法律的な根拠はたしかにあります。弘中弁護士は、依頼人の秘密を捜査当局に渡すことによって依頼人が減るのを恐れているのかもしれません。しかし、日本の国益とゴーンの利益が天秤にかけられているのです。どう考えても国益を優先すべきです」

 これが世間の皮膚感覚だろう。地検にはリスクなんて気にしないでもらいたい。

週刊新潮 2020年1月23日号掲載

特集「『ゴーンvs.日本』九つの大罪」より

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