ゴーンが展開する“反日” 検察は取り調べの録音録画を全世界に公開せよ

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 商才に長けたフェニキア人が、極東の蛮国で政局に絡んで虎の尾を踏んだが命からがら逃避行――。などと聞けば、今回のカルロス・ゴーン(65)の蛮行の見え方は違ってくる。小説・映像化を狙うゴーンの魂胆はそこにある。ならば今こそ、取り調べの録音録画データを全世界に公開すべきなのだ。

 8日の会見でゴーンが語った大要は以下の通りだ。

〈正義から逃れたのではない。不正と政治的迫害から逃れ、家族を守るためだった〉〈基本的人権が守られていない〉〈1日8時間も検察官の尋問を受け、“自白しないと事態は悪くなる。家族も追及する”と何度も言われ、絶望的な気持ちだった〉〈日本の刑事司法は公平ではなく、私は逮捕、勾留されるべきではなかった〉

 しかし、東京地検によると、1日の取り調べは平均4時間弱で、それらは当然全て録音録画されている。しかもゴーンは毎日2時間、弁護士とも接見できていた。次席検事のコメントは英語でもホームページに掲載されているが、ゴーンの発信力には到底及ばない印象だ。

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士によると、

「裁判で白黒はっきりつける法治国家というものが蔑(ないがし)ろにされた。ゴーンは海外であることないこと言い回っているわけで、日本の法制度、裁判システム、刑事司法は相当いい加減なんだという印象を世界に与えてしまいましたね」

 同様に元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏も、

「日本は『東洋の野蛮国』というイメージになる。日本の報道だと、“言いたいことがあるなら裁判で言え”となっているが、日本の裁判制度についてはどこの国も批判的。何らかの犯罪をやったとしてもここまで罰せられる話じゃないだろうという論調です。ゴーンのとりあえずの目的は達成されてしまった。次は手記と映画。小説調の脱出劇を作って、それを映画化することです。日本はどれくらいひどいところかというイメージを掻き立てる。ゴーンは残りの人生をかけて反日をやってくる。『反日人生』のスタートは順調にきられたと私はみています」

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