上皇ご夫妻を祝賀訪問した三権の長に疑問噴出…終わらない「二重権威」問題

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分かっていながら宮内庁「二重権威」のジレンマ(2/2)

 令和初の新年一般参賀では、天皇皇后両陛下が計5回、お出ましになった。上皇ご夫妻も午前中の3回お出になったのだが、昨年12月27日に開かれた宮内庁長官の記者会見では、記者からその“経緯”について質問がなされた。かねてより二重権威が議論されている中、四方が並ばれる一般参賀の在り方について宮内庁は検討をしたのか、という旨である。

 長官は〈上皇陛下のお姿を拝見して、今上陛下と並ぶ権威だと感じる人はそんなにいないのではないか〉と回答したものの、二重権威と映りかねない状況を調整するのは、本来、役所の仕事である。

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 実際に、前述した長官会見では、以下のような激しい一幕もあったという。宮内庁担当記者が振り返る。

「上皇さまのお誕生日である12月23日に、前年と同じく総理大臣、衆参両院議長、最高裁長官ら三権の長が祝賀に訪れたことを、ベテラン記者が疑問視したのです。『天皇陛下だから特別な地位にある三権の長がお祝いする。それを上皇さまにも行うのでは、まるで同じお立場の方がお二人いらっしゃるかのようだ』と指摘し、受動的な形で二重権威が生まれる可能性に言及しました。これに長官は『30年間、天皇陛下として過ごしてこられた方に、敬意を表してお祝いに来るのは“自然の情”として当然ではないか』と反論したのです」

 長官は“お二方が同じ存在などとは誰も思わない”と、ベテラン記者の指摘を突っ撥ねつつ、

「『私の周りでも、上皇上皇后両陛下への尊敬の念は厚い』『そこへ総理大臣がお祝いに行ったからといって、天皇陛下と並び立つ存在であるなどと感じる人は、周りでは誰もいません』と言い切りました。なおも記者が『“自然の情”は理解できるが、天皇陛下以外の方に三権の長が同じように振る舞うのはおかしいのでは』と食い下がったのですが、長官は『こちらから呼びつけているわけではない。それは三権の長が判断して頂くことだ』と、議論を切り上げてしまいました」

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