「リアル万引き家族」被害総額400万円で逮捕、一家4人で車上生活
東京五輪招致に向けたスピーチで、滝川クリステルは〈お・も・て・な・し〉の後にこう続けている。〈皆様が東京で何かをなくしても、ほぼ確実に戻ってきます。たとえ現金でも〉。そう、日本招致のカギは安全と安心、心の豊かさにあったはず。だが、わが国には光だけでなく、世界が知らない闇もある。昨年末に発覚したリアル「万引き家族」の風景はまさにそのひとつだ。
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釣具店に姿を現した少年と幼い女の子。店員が目を離した隙に、女の子は店の入口に設置された盗難防止用センサーのコンセントを引き抜く。次の瞬間、少年は数本の釣竿を抱えたまま店外に飛び出した――。
2018年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた「万引き家族」(是枝裕和監督)のワンシーンである。実は、この映画を彷彿とさせる「家族」が実在していたのだ。
昨年12月16日、埼玉県警は窃盗事件の被疑者として、坂上里喜(62)と妻のやすえ(55)、長男の祐貴(26)、さらに、長女の熊川汐保美(30)の逮捕を発表。社会部記者によれば、
「この一家は昨年2月から7月にかけて現金やゲーム機、研磨機といった電気工具など総額約400万円相当、計43件もの盗みを働いていた。やり口は休日や夜間に無人の商店へと侵入して金品を盗み出す“出店荒らし”。およそ半年間にわたって、埼玉県北部から群馬県太田市周辺を車で移動しながら犯行を重ねた。県警は“泥棒家族”と呼んで捜査を続けていました」
父親と子どもたちは昨年7月に窃盗容疑でお縄となり、一時、生活困窮者向け施設に身を寄せた母親も4カ月後に逮捕されている。
「スーパーからはポテトサラダや弁当を、ラーメン屋からはチャーシューを盗んで食料にしたようです。それ以外の盗品は父親と息子が実行犯となって手に入れ、母親がきれいに磨いて娘がリサイクルショップに持ち込んでいる。足がつかないよう家族のなかで役割分担を明確にしていた」(同)
盗みが生業となっていたワケで、まさに映画を彷彿とさせる「家族」である。車上生活に至る前に彼らが暮らしたのは、埼玉県本庄市内にある平屋の一軒家だった。近隣住民によれば、
「坂上さんは20年以上前から、あの借家に住んでいましたよ。息子さんも含めて家族が働いている姿は見たことがない。事故を起こしたお父さんが交通刑務所に入ったこともあった。お母さんは足が悪くて生活保護をもらっていましたが、近所では“当たり屋”でケガをしたからじゃないのかって。実際、役所も不正受給を疑っていたし、息子と娘は消費者金融から借金をしていたようです」
結局、坂上一家は去年の初めにこの家から“夜逃げ”する。それも「家財道具をすべて置いたまま、突然、“ドロン”です」(同)。
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