ゴーン逃亡で“行きつけのレバノン料理店”は大喜び テレビの取材謝礼は1回10万円也
ゴーンの好物は「タッブーレ」
翌日、予約を入れた時間に店に入ると、
「昨日はすみませんでした。民放テレビの撮影が入っていたし、撮影後も予約で満席だったのです」
と、オーナー。名刺を切って、取材の意図を告げた。ゴーン被告がレバノンへ逃亡したことや、1月8日の記者会見について聞こうとすると、
「話してもいいけど、お金かかるよ。それに、ゴーンがうちに来て何を食べたという話ならいくらでも話せるけど、レバノンに逃亡したことや記者会見のことは言えないね」
まさか謝礼を要求されるとは……。いくらなのか聞いてみると、
「テレビは1回の撮影で10万円。2回撮影したから、計20万円ね。雑誌だったら、その半分でいいよ」
オーナーはにこにこ笑いながら、領収書の控えを見せてくれた。確かに10万円とある。それが2枚だ。
「テレビから取材の依頼はいっぱい来ているよ。NHKは金額が折り合わず、断ったね」
ゴーン被告は、店に何回来たか尋ねてみると、
「昨年の8月と10月の2回来たね。最初、彼が来た時はびっくりしたよ。まさかと思ったね。あなたの座っている椅子の向かいの席に座っていたよ」
そう言うと、オーナーはその席に腰かけ、ゴーンのようにふんぞり返って見せた。
「店の客もみな驚いて、ゴーンさんと握手、握手。それから記念撮影も。僕も彼と記念撮影。彼はいい人だよ」
ゴーン被告が好きな料理は、パセリがたくさん入ったサラダ、「タッブーレ」という。
「レバノン人だったら、タッブーレは毎日でも食べたい料理。ゴーンさんは、よく食べたよ。デザートもたくさん食べた。うちの味を気に入ってくれて、また来ると言ってくれたのに、レバノンに行ってしまった」
オーナーは、ゴーンが店に来た時のことを思い出しているような素ぶりを見せ、
「テレビの取材では、まだまだ話していないことがいっぱいあるよ。テレビは1回の放映で終わりだけど、雑誌は活字が残るからね、色々話さないと……」
こちらに取材をして欲しいと催促しているのだろうか。
「取材依頼は、これからもどんどん来ると思うよ。だから、一度に全部は喋れないね。少しずつ小出しにしないと、新鮮味がなくなるからね」
なかなか、計算高いのである。思い切ってオーナーに、2万円ではどうかと交渉してみると、
「2万円? 全然駄目!」
商魂たくましい――。
[2/2ページ]