ゴーン逃亡先「レバノン」ってどんな国? テルアビブ銃乱射の日本人も庇護下に

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“コーゾー”コール

 現在、首都ベイルートに暮らす岡本の近況について、事情に明るい関係者によると、

「朝6時起床で夜は10時就寝。NHKのBSで朝ドラや相撲を楽しみ、朝は一緒に生活している支援者数人の朝食を作っている。マンションの最上階に暮らし、イスラム原理主義政党『ヒズボラ』が防衛隊を作っています。外に出るときは必ず護衛がつきますが、あるとき水を買いにふらっと外出したことがあった。店主は英雄が来たことに飛び上がるほど喜び、“お金は要らない”と受け取りを拒んだそうです」

 その類の話には事欠かず、

「以前は結婚式に呼ばれることがよくありました。みな、参加者に自慢したいからです。ただ、行ってみると“コーゾー、コーゾー”コールが起き、新郎新婦より目立って騒がれてしまう。参加者からの歓迎のキスの嵐がイヤで、行かなくなったそうです」

 体調については、

「悪くはないですが、イスラエルで受けた拷問による精神的ダメージが癒えず、月に1度は統合失調症の薬を服用しています。“日本には帰りたいが、帰っても殺人罪で国際手配されている身なので逮捕・刑事裁判が待つ。イスラエルでの拷問の記憶が甦るから帰りたくない”ということでした」

 元駐レバノン大使の天木直人氏は、こう振り返る。

「現地に着任する大使が最初に日本政府から命じられるのが、岡本の返還交渉でした。しかし、彼はイスラエルと戦った英雄ですからレバノンは絶対、交渉に応じようとしなかった」

 岡本に比べ、ゴーンは一宗派の利権を代表することはあってもレバノンの英雄ではない。貧窮に喘ぐ市民には暴利を貪ったイメージは捨て難い。枕を高くして寝られるとは限らないのだ。

週刊新潮 2020年1月16日号掲載

特集「風と共に『ゴーン』10の謎」より

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